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吠
「吠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
吠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
ひそんでいる、恐ろしいものを感じ合った。が、それは、文字どおり刹那である。馬は、
吠《ほ》えたける犬の群れに、脅かされたせいであろう、首を空ざまにつとあげると、前....
「鼻」より 著者:芥川竜之介
内供を怒らせたのは、例の悪戯《いたずら》な中童子である。ある日、けたたましく犬の
吠《ほ》える声がするので、内供が何気なく外へ出て見ると、中童子は、二尺ばかりの木....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
くわ》えながら、
「さあ早く、御仕度をなすって下さいまし。わん、わん、わん、」と
吠えました。
しかし御姫様は、まだ御眼に涙をためながら、洞穴の奥の方をそっと指....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
地獄に堕《お》ち、不断の業火《ごうか》に皮肉を焼かれて、尽未来《じんみらい》まで
吠え居ろうぞ。ましてその天上皇帝の遺《のこ》された、摩利信乃法師《まりしのほうし....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
。犬は彼が座敷へ通ると、白い背中の毛を逆立《さかだ》てながら、無性《むしょう》に
吠《ほ》え立て始めたのだった。
「お前の犬好きにも呆《あき》れるぜ。」
晩酌《....
「桃太郎」より 著者:芥川竜之介
半分くらいでは、鬼が島征伐の伴をするのも考え物だといい出したのである。すると犬は
吠《ほ》えたけりながら、いきなり猿を噛《か》み殺そうとした。もし雉がとめなかった....
「白」より 著者:芥川竜之介
にはありありとそう云う嚇《おどか》しが浮んでいます。白は余りの恐ろしさに、思わず
吠《ほ》えるのを忘れました。いや、忘れたばかりではありません。一刻もじっとしては....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
げながら、糅然《じゅうぜん》と四方へ逃げのいた。燈台の倒れる音、けたたましく犬の
吠える声、それから盤《さら》だの瓶《ほたり》だのが粉微塵《こなみじん》に砕ける音....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
を喰《くら》って倒れんばかりによろけた佐藤は、跡も見ずに耳を押えながら、猛獣の遠
吠《とおぼえ》を聞いた兎《うさぎ》のように、前に行く二、三人の方に一目散にかけ出....
「星座」より 著者:有島武郎
でいた。
農学校の大時計が一時をうち、二時をうち、三時をうった。遠い遠い所で遠
吠えをする犬があった。そのころになって園の部屋の灯は消えた。
気づかれのした若....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
を占めて、何の報酬も求めないで、番をして居た。夜になると街道に出て声の嗄れるまで
吠えた。さて草臥れば、別荘の側へ帰って独で呟くような声を出して居た。 冬の夜は....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
単葉の飛行機だった。鶏や犬はこの響きに驚き、それぞれ八方へ逃げまわった。殊に犬は
吠え立てながら、尾を捲いて縁の下へはいってしまった。 「あの飛行機は落ちはしない....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
珍しく見送りの人影さえ跡を絶って、唯、檻に入れられた小犬が一匹、時々悲しそうに、
吠え立てていた。これらはその時の私の心もちと、不思議な位似つかわしい景色だった。....
「墓」より 著者:秋田滋
ほったて小屋に寐起きをしている墓番は、台所のなかへ入れておいた飼犬がけたたましく
吠えだしたので、その声に夢を破られた。 すぐに寐床を降りていってみると、どうや....
「活人形」より 著者:泉鏡花
手口より、衝と門内に遁れ出づれば、米利堅産種の巨犬一頭、泰助の姿を見て、凄まじく
吠え出せり。 南無三、同時に轟然一発、頭を覗って打出す短銃。 幸い狙いは外れ....