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否む
「否む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
否むの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「松江印象記」より 著者:芥川竜之介
ことは、必ずしもこれらの都市が踏んだと同一な発達の径路によるということではない。
否むしろ先達《せんだつ》たる大都市が十年にして達しえた水準へ五年にして達しうるの....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
こうとする生物を或る神秘な力が鞭ちつつ、分化から分化へと飛躍させて来た。誰がこの
否む可らざる目前の事実に驚異せずにはいられよう。地上の存在をかく導き来った大きな....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
していた不満な恋愛感を、あなたに接触することで満足させようとしたと云われても――
否むしろ僕自身そう僕を観察さえするようになりました。あなたの潔癖があなたの母子情....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
てもお前さま方の御覧に入るるようなものではござりませぬ。」 とは言ったが、別に
否む気色もなしに、彼はそこらに生えている芒の葉で自分の笛を丁寧に押しぬぐって、う....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ですけども、けっして倫理的ではある代りに道徳的ではなく、そこにまた、殺人の衝動を
否むことは出来ぬ――とあの方は仰言いました。ああ、これでも、貴方がお考えになるよ....
「死者の書」より 著者:折口信夫
、そうした大願から立てられたものだろう、と言う者すらあった。そして誰ひとり、其を
否む者はなかった。 南家の姫の美しい膚は、益々透きとおり、潤んだ目は、愈々大きく....
「山越しの阿弥陀像の画因」より 著者:折口信夫
表現のあったのは疑われぬ。其が、今日の我々にとって、不思議なものであっても、其を
否む訣には行かぬ。既に述べた「日の伴」のなつかしい女風俗なども、日置法と関聯する....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
さん、良いでしょう。」 と火鉢に手をかけ、斜めに見上げた顔を一目。鬼神なりとて
否むべきか。 「可うございますとも、行って取って参りましょう。ついでに何ぞ見繕っ....
「二階から」より 著者:岡本綺堂
も絶対に信じません。けれども、こういう不思議な事実を曾て目撃したということだけは
否む訳に行きませんよ。どう考えても判りませんねえ」と、S君は首をかしげていた。私も烟にまかれて聴いていた。....
「奥州における御館藤原氏」より 著者:喜田貞吉
もって他をも察することが出来よう。しかも彼が王地を押領するの事実はとうていこれを
否むことが出来ず、俊明のごとき心あるの士は、いつかは追討の師を出だす機会のあるべ....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ものあり。日ごろ旅行談の完成せるものを刊行して大方の志に酬いよと強うる友多し。余
否むに辞なし。すなわちかつて時事新報と大阪毎日新聞とに掲載せしものを再集して梓に....
「正に芸術の試煉期」より 著者:小川未明
のみでない。勇敢に清新な人間的の理想に燃える芸術が、百難を排して尚お興起するのを
否むことができない。また、そうなくてはならない。 人間が生存する限り、生長が、....
「エタに対する圧迫の沿革」より 著者:喜田貞吉
れらの中に於いて、ひとりキヨメ・河原ノ者等のみが、特別に賤しかったとは思われぬ。
否むしろエタの方が慶長以前に於いて既に、「音楽のやから、青屋・墨焼・筆結」等の上....
「エタと非人と普通人」より 著者:喜田貞吉
日雇取りや手伝い・土方などいうものと、職業上・身分上そう区別のなかったのである。
否むしろ彼らは、当時身分を落して人の忌がる賤職に従事していたお蔭で、生計上はむし....
「「特殊部落」と云う名称について」より 著者:喜田貞吉
のである。しかもなお依然その名称が存したならば、それは何ら侮辱的意味を有せざる、
否むしろ一種の名誉の称号たるべきものであらねばならぬ。....