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否めない
「否めない〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
否めないの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「闖入者」より 著者:大阪圭吉
の正午まで続けられた。そしてその結果、これは大月の名声も大いに与って力あった事は
否めないのだが、ひとまず容疑者の検束は延期になり、やがて一行は岳陰荘へ引挙げて来....
「思想と風俗」より 著者:戸坂潤
や、劇場がもつ一種の社交感が、確かに私を映画館へ導く一つの秘密(?)であることは
否めない。本を読むにも退屈し、人を訪ねるにも遠慮がある、という時に、私の身体を移....
「鴎外・芥川・菊池の歴史小説」より 著者:宮本百合子
としたテーマ小説をよみ終ると、私たちの心にはやがて新たな疑問が擡頭して来ることを
否めない。成程、あらゆる人間はあらゆるとき生を欲している。しかしその表現の歴史と....
「もくねじ」より 著者:海野十三
いる。だからぼくの折角のこの幸運も、自ら省みて、いささか暗い蔭のさしていることが
否めない。 それでもいいのであろうか。 声をたてるわけにもいかないので、ぼく....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
『都新聞』一九三六年八月十一日)、「結果から見れば最近多少厳重になっていることは
否めない。――第一には十年程前迄は検閲の係が小さかったのが、最近では整備されて隅....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
し、春子や真智子からの郵便を待つ心に、ある特別の感情が伴なっていたことも、やはり
否めない事実であった。 彼はまた、一心に水を見つめたり、雲をながめたり、風の音....
「戦後新人論」より 著者:坂口安吾
はたしかに、過去に存在しなかったものだ。良かれ悪しかれ一つの時代をつくったことは
否めない。 将棋界が全員とみに活気を呈した如く、漫画界も全員活気を呈した点で戦....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
と長平との行きがかりから、こッちだって構うものかという気持がはたらいていたことは
否めない。それをつとめて自制してきたことに多少の誇りはあるけれども、結局それがは....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
肉体からは、五彩の陽炎が放たれ、その刹那、清高な詩の雰囲気がふりまかれそうな観も
否めないのだった。 しかし、ウルリーケのすらっとした喪服姿が、おりからの潮風に....
「想像と装飾の美」より 著者:岸田劉生
表わしてみたいから。 かくて彼らは何と弁解しても写実の路を歩こうとしている事は
否めない。唯それが本当の写実にならないのは独り日本画のみならず、日本はおろか世界....
「翻訳遅疑の説」より 著者:神西清
は知らね、柄にもない風流な役目が、現在のところ飜訳家の肩にのしかかっていることは
否めないと思う。 6.※.1936 (発表紙未詳)....
「草木塔」より 著者:種田山頭火
の茶の木は庵の周囲を庵として完成してくれる。 茶の花に隠遁的なものがあることは
否めない。また、老後くさいものがあることもたしかである。年をとるにしたがって、み....
「正義」より 著者:浜尾四郎
時伝えられた通りを僕が述べるにすぎないけれども、森木の行動に不自然な点のあるのは
否めない。従って後に彼が被告人となり、彼自身でも供述を大分変えているのだが、とも....
「道は次第に狭し」より 著者:北大路魯山人
要だ。卑俗であれば、やはり、経済的な観念が伴うのがふつうで、価格が支配することも
否めない。 結局、味を覚えることも、美術の鑑賞力を養うのと同じで、その先その先....
「持ち味を生かす」より 著者:北大路魯山人
てよい。見識ある食の摂り方は、心身を健全に導くようである。人間を豊かにすることも
否めない事実だ。われわれが料理に関心を寄せる点は、ここにもある。美味い美味いの連....