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否応
「否応〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
否応の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
砕いたようなものが、川よりも早く流れている。そうしてそれが刻々に力を加えて来て、
否応なしに彼を押しやってしまう。
彼の耳にはいつか、蟋蟀《こおろぎ》の声が聞え....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
けさ》がその愛を衒《てら》っていた夫を殺そうと云うくらい、そうしてそれをあの女に
否応《いやおう》なく承諾させるくらい、目的に協《かな》った事はない。そこで己は、....
「或る女」より 著者:有島武郎
の記憶は長く忘れ得なかった。
それがあの木部との結婚問題が持ち上がると、内田は
否応《いやおう》なしにある日葉子を自分の家に呼びつけた。そして恋人の変心を詰《な....
「或る女」より 著者:有島武郎
を回復した倉地は、いきなり寝床の中から飛び出して来て、そうはさせまいとする葉子を
否応《いやおう》なしに床の上にねじ伏せていたに違いないのだ。葉子はわき目にもこせ....
「星座」より 著者:有島武郎
待っていた。大臣が勢いよく馬車に乗って出てくるのを見ると、すぐ駈けだしていって、
否応《いやおう》なしにその馬車に飛び乗った。そして馬車が官舎に着くまで滔々《とう....
「弓町より」より 著者:石川啄木
…ような日が二月も三月も続いた。 そうしてるうちに、一時脱れていた重い責任が、
否応《いやおう》なしにふたたび私の肩に懸《かか》ってきた。 いろいろの事件が相....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
くも十人並以上になるんだ、ね、そうじゃないか。」 主税は返す言もなく、これには
否応なく頷かされたのである。蓋し事実であるから。 一家一門 ....
「あやつり裁判」より 著者:大阪圭吉
をするためにふだんから始末して貯えた金だと云い張ったんですが……ま、そんなわけで
否応なしに送局となり、予審も済ましていよいよ公判ってことになったんです。ところが....
「今昔ばなし抱合兵団」より 著者:海野十三
そうでもないよ。そうしてお前が、第八回目の手紙を書くようになったときには、お前は
否応なしに、ピポスコラ族に出会った話を書かなければならないだろう。それまでわしは....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
苦しい、何をざわつく。唯今も、途中で言聞かした通りじゃ。汝に白羽の矢が立ったで、
否応はないわ。六ヶ村の水切れじゃ。米ならば五万石、八千人のために、雨乞の犠牲にな....
「太平洋雷撃戦隊」より 著者:海野十三
しょう。蓋を直しきらないうちに、もし先刻のような駆逐艦に見つかったら、今度こそは
否応なく、撃沈されてしまいます。あれほどの大手柄をたてた艦に、なんと惨い御褒美で....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
に頼んで出世させて上げる、来なはれ、)と直ぐに貴方。 その場から連れて戻って、
否応なしに、旦を説付けて、たちまち大店の手代分。大道稼ぎの猿廻しを、縞もの揃いに....
「取返し物語」より 著者:岡本かの子
か』 源右衛門『数ならぬ御同行の端くれの私|奴へ、お上人さま直々のお頼み、なんで
否応を申しましょう。…………然しお情深いお上人さまのそのお口からこの御註文は、ち....
「瘤」より 著者:犬田卯
長の香料を浮かすために、二年間村長を置かぬという村の方針にも拘らず、再選の問題が
否応なしに持上ったのだとのこと、表沙汰は、「この非常時に際して、いかになんでも村....
「呼ばれし乙女」より 著者:岡本かの子
に憑かれているのであろうか――苦しいほど快い脅えが千歳の身体の髄まで浸み、千歳を
否応なしに弱気な娘にする。彼女はいま、美しい虹に分別の意を悉く閉され、ただ慶四郎....