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「含み声〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

含み声の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
妖婆」より 著者:芥川竜之介
手をかけて、「御免。」と、勢の好い声を出しました。するとすぐに「はい。」と云う、含み声の答があって、そっと障子を開けながら、入口の梱《しきみ》に膝をついたのは、....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
のキチンとしたもので、いつも地頭を承っていた。 桐山孫次郎氏のは底張りの柔かな含み声であった。一番穏当な謡と翁門下で云われていた。 又斎田氏のは凝った、響の....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
「何かい、……この老人を、お町、お前知っとるかい。」 「はい。」 と云うのが含み声、優しく爽に聞えたが、ちと覚束なさそうな響が籠った。 「ああ、しばらく、一....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
に髪と鬚が際立って白い。互いちがいに脚を絡ませるような歩き方、笑っている眼、太い含み声だ。 『仕事がありますので、ながくはお話し出来ません。ほんの五分、いや三分....
月明」より 著者:豊島与志雄
く見える頬が、血の気を失って、真蒼だった。きっと結んでる口が少し開いて、やさしい含み声で、 「何に慴えたの!」 云ってしまって彼女はほっと息をした。 彼はぼ....
反抗」より 著者:豊島与志雄
心もち首筋から肩のあたりへしなを持たせた様子と、かすかに開いた唇から洩れる静かな含み声とで、彼を呼び止めた。 「井上さんちょいと!」 例のことだな、と周平は思....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ずからこうありたいと思ってる姿だった。金髪で、痩《や》せ形で、眼は青く、やや弱い含み声で口をきき、穏和な内気なやさしい人物だった。実際がどうであろうとも、彼はや....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
しそれはごく単純な歌で、古い旋律《メロディー》のものだった。彼女は重く弱い中音の含み声をもっていた。ごく内気だったので、だれの前でも歌えなかった。オリヴィエの前....
十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
夜にどこへ行くのか?) 疑惑が疑惑を次々に生んだ。と、その時新八郎は、背後から含み声で声をかけられた。 「小糸氏、お遊びのお帰りかな」 驚いて新八郎は振り返....
」より 著者:秋田滋
聴席にはまたしても嘲罵の口笛が起った。 けれども、彼は、動ずる色もなく、心もち含み声で語りだした。始めのうちはその声はやや低かったが、喋ってゆくにつれて、それ....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
しい侍は、膝を起こして立ち上がったが、それからポンポンと塵を払うと、憐れむような含み声で、 「殺人剣活人剣、このけじめさえ解らぬような、言語に絶えた大馬鹿者、天....
剣侠」より 著者:国枝史郎
のあやまり、やり直しは幾重にもご用捨……」 床から独楽を拾い上げ、顫えを帯びた含み声で、こうテレ隠しのように口上を述べ、源女が芸を続け出したのは、それから直ぐ....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
である。面長の、しかも膨らみのある顔で、調子も“鳩ぽっぽ”と綽名されていたような含み声であったが、和事師をしては当代第一人と称されて、かの団菊左の三名優に次ぐべ....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
リヴェヤラ。」 ほっほっとママまで腹をかかえた。そうして、「ううむ、駄目。」と含み声でつっと身をねじらした。 b=B B=v と、ノートに書いて、「ね。」 ....
俗臭」より 著者:織田作之助
機嫌をとる事に敏感なのだ。三亀雄の声は普段もそうだが、殊にこういう場合、いわゆる含み声で、黄色いという形容詞が適わしい。蓄膿をわずらったことがある。夢々感じの良....