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吸入器
「吸入器〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
吸入器の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「眼帯記」より 著者:北条民雄
るのであるが、私はうれしかったのでまるで自分が発見したことのように思った。それは
吸入器を眼にかけて洗眼と罨法を同時に行なうのである。 Tは私よりずっと眼は悪く....
「貧しき信徒」より 著者:八木重吉
す光っていた 冬の夜 おおひどい風 もう子供|等《ら》はねている 私《わたし》は
吸入器を組み立ててくれる妻のほうをみながら ほんとに早く快《よ》くなりたいと思っ....
「芽生」より 著者:島崎藤村
ので、家内も可愛そうに思って、その日は一緒に連れて行った。種夫の為に新宿の通りで
吸入器を買って、それを家内が提げて帰ったが、丁度|菓物《くだもの》の変りめに成る....
「爛」より 著者:徳田秋声
しい余寒の風に戦くような日が、幾日も続いた。病室のなかには、かけ詰めにかけておく
吸入器から噴き出される霧が、白い天井や曇った硝子窓に棚引いて、毛布や蒲団が、いつ....
「火星兵団」より 著者:海野十三
空気がうすいから、そのままでは外に出られないわけだ。成層圏をとぶ時のように、酸素
吸入器をつけて、下におりるより、仕方がないだろうね。そのままでは、酸素が足りなく....
「月世界探険記」より 著者:海野十三
。「じゃ大胆に『危難の海』の南に聳えるコンドルセに着陸しよう。皆、防寒具に酸素|
吸入器を背負うことを忘れないように。……では着陸用意!」 「着陸用意よろし」 ....
「花園の思想」より 著者:横光利一
火を点けた。しかし、もう、彼女は昨日の彼女のようにはならなかった。ただ最後に酸素
吸入器だけが、彼女の枕元で、ぶくぶく泡を立てながら必死の活動をし始めた。 彼は....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
看護婦の唄う流行歌を覚えた。母は、子供の前で絶対に歌ってならないと命じていたが、
吸入器の掃除をしたり、枕許の整理をする時、自然にその白い上衣をきている彼女の口か....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
瞭になったからです。 うちは百日咳のさわぎで、食堂など家庭野戦病院的光景です、
吸入器と並んで食事します。咲枝も六月下旬からずっと入院、子供の百日咳とつづいて疲....
「二つの途」より 著者:豊島与志雄
。床の間にのせられてる机の上には、真白な布巾の下に薬瓶が並んでいた。机の横には、
吸入器や紙や脱脂綿や其他のものがとりまとめて置いてあった。草花の鉢の土も適度に湿....
「反抗」より 著者:豊島与志雄
の方を見ないで、周平の顔をじっと見て、それから首肯《うなず》いた。周平は機械的に
吸入器の用意をした。 隆吉は床の上に坐って、真白なタオルに包まれた。タオルから....
「新春・日本の空を飛ぶ」より 著者:坂口安吾
套を預る。真冬の四千メートルの高空を二〇度の適温で旅行させてくれる。落下傘や酸素
吸入器など前世紀的なものはここには存在しない。爆音も有って無きが如く、普通に会話....
「越後獅子」より 著者:羽志主水
た巡査部長が白い布《きれ》の上に拡げた焼け残りのガラクタの中に、歪《ひず》んだ、
吸入器の破片があった。 「想像ですが、喧嘩をして夫は飛出す。熱はある、咽はいたむ....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
人は抱き合って魂と魂を天空高く飛ばした。 「おい天狗、この空はどうだ。やはり酸素
吸入器を携帯して来てよかったなア」 「あいにく雨で大会に集まる者も困っているだろ....
「童子」より 著者:室生犀星
流の気稟をもっていた。わたしは写野さんに見てもらったことを喜んだ。そして信じた。
吸入器を一つは伊織のおばさんが持ち、他の一つは車やの鈴木が水をさし、妻と看護婦が....