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「吸口〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

吸口の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
青春の逆説」より 著者:織田作之助
新聞紙もくべ尽してしまい、何という俺は不器用な男だと、げっそりした。ふと、煙草の吸口がよいと思い、くべてみると、蝋があるのでよく燃えた。そこをすかさず、しきりに....
婦系図」より 著者:泉鏡花
十四 その時お妙の言というのが、余り案外であったのから、小芳は慌しく銀の小さな吸口を払いて煙管を棄てたのである。 「お医者もお薬も、私だって大嫌いだわ。」 ....
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
りません、姿見の前で……」 境が思わず振り返ったことは言うまでもない。 「金の吸口で、烏金で張った煙管で、ちょっと歯を染めなさったように見えます。懐紙をな、眉....
朱日記」より 著者:泉鏡花
話がよく分らん、喋舌るのに骨が折れる。ええん。」と咳をする下から、煙草を填めて、吸口をト頬へ当てて、 「酷い風だな。」 「はい、屋根も憂慮われまする……この二三....
天守物語」より 著者:泉鏡花
間。) 女郎花 夫人。(と長煙管にて煙草を捧ぐ。) 夫人 (取って吸う。そのまま吸口を姫に渡す)この頃は、めしあがるそうだね。 亀姫 ええ、どちらも。(うけて、....
太平洋魔城」より 著者:海野十三
させた酒びんかもしれない。 太刀川は、ふと鼻の先に、赤ん坊が口にくわえる牛乳の吸口みたいなものが、ぶら下っているのに気がついた。 (はて、これかな) と思っ....
大宇宙遠征隊」より 著者:海野十三
減ったような気がしないが、どうしたんでしょう」 ときいた。 すると、鳥原は、吸口まで火になった煙草を、灰皿の中でもみけしながら、 「ああ、重力のことか。重力....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
は銘々が勝手次第、勝負の上から代銭を払えば可い、面白い、遣るべいじゃ。 煙管の吸口ででも結構に樽へ穴を開ける徒が、大びらに呑口切って、お前様、お船頭、弁当箱の....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
煙を、すぱすぱと吹く。溝石の上に腰を落して、打坐りそうに蹲みながら、銜えた煙管の吸口が、カチカチと歯に当って、歪みなりの帽子がふらふらとなる。…… 夜は更けた....
露肆」より 著者:泉鏡花
ら降るという長い煙草に縁のある、煙草の脂留、新発明|螺旋仕懸ニッケル製の、巻莨の吸口を売る、気軽な人物。 自から称して技師と云う。 で、衆を立たせて、使用法....
黒百合」より 著者:泉鏡花
へ、」 と言懸けて、お兼は、銀煙管を抜くと、逆に取って、欄干の木の目を割って、吸口の輪を横に並べて、三つ圧した。そのまま筒に入れて帯に差し、呆れて見惚れている....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
「…………」 「ははあ、対手の貴婦人だね。」 「そんな事を言わないで、」 と吸口をもっと突込む。 「可いじゃないか、何も貴婦人と云ったって、直ぐに浮気だ、と....
風波」より 著者:井上紅梅
ら、帰りが遅くなって嚊に小言をいわれるのは無理もないことである。 七斤は象牙の吸口と白銅の雁首の附いている六尺余りの斑竹の煙管を手にして、頭を低げてぶらぶら歩....
卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
くなる。 私も自分で値をつけて、大蟹に湯気を搦めて提げた。 占地茸を一|籠、吸口の柚まで調えて……この轆轤を窄めた状の市の中を出ると、たちまち仰向けに傘を投....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
つでも煙管の羅宇の破れたのに紙を巻いてジウジウ吸っていたが、いよいよ烟脂が溜って吸口まで滲み出して来ると、締めてるメレンスの帯を引裂いて掃除するのが癖で、段々引....