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吸物椀
「吸物椀〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
吸物椀の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
まえこご》みになって舐《な》めるような調子で、私《そっ》とお島の方へ声をかけた。
吸物椀にぎごちない箸をつけていた作は、「えへへ」と笑っていた。
お島は年取った....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
女中は兵庫屋へ報《しら》せに行った。 二階には手炙火鉢《てあぶり》が運ばれた。
吸物椀や硯蓋《すずりぶた》のたぐいも運び出された。冬の西日が窓に明るいので女房は....
「箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
夜らしいやわらかい匂いが淡《あわ》くただよっていた。外記の前には盃台が置かれて、
吸物椀や硯蓋《すずりぶた》が型の如くに列《なら》べてあった。 相手になっている....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
か看て取りたく思った。だが、かの女が夫人を凝視したとき、夫人はもう俯向いて、箸で
吸物椀の中を探っていた。 「一郎が何かいたしましたの」 かの女は思わず声高にな....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
喧嘩でも吹掛けて、此の勘定を持たせようと思っている悪浪人の一人が、手に持っていた
吸物椀の中へ雪踏がぼちゃりと入ったから驚いて顔を上げ、 甲「これ怪しからん奴だ、....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
せぬ。腹は無闇に減る。新郎の母者人が「ドウカお吸物を」との挨拶が無い前に、勝手に
吸物椀の蓋をとって、鱚のムスビは残して松蕈とミツバばかり食った。
九時過ぎやっ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ああ言えばこう言う、少しも怯《ひる》まぬ少年。 なるほど、少年は手に一箇の
吸物椀《すいものわん》を持っていて、それで水の中を掻き廻していたのです。右のお椀....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ッタラ、ソレハマダ打チトケヌカラダトヌカス故、盃《さかずき》ヲヨウヨウ取ッタラ、
吸物椀デ呑メト皆ンナガ云ウ、カンシャクニサワッタカラ、
吸物椀デ一パイ呑ンダラ大勢....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
それから多くの人が起って来て盃の取やりをされたが、そう酔払っても困るから、多くは
吸物椀へ翻して、よき頃を見計って妻や親戚と共に退席した。 この外郷里の青年のた....
「かくれんぼ」より 著者:斎藤緑雨
を、酒席の憲法恥をかかすべからずと強いられてやっと受ける手頭のわけもなく顫え半ば
吸物椀の上へ篠を束ねて降る驟雨酌する女がオヤ失礼と軽く出るに俊雄はただもじもじと....
「食堂」より 著者:島崎藤村
反ってごたごたいたしますから」 とお力は款待顔に言って、お三輪のために膳、箸、
吸物椀なぞを料理場の方から運んで来た。 「おお、これはおめずらしい」 と言いな....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
う。構いませんから先へやりましょう。」と駒田は盃《さかずき》を年上の記者にさして
吸物椀《すいものわん》の蓋《ふた》をとる。 「僕はどうも飲む方は得意でない。」と....
「舌のすさび」より 著者:吉川英治
よしゃアがれ』と、台所へ突っ返したくなってしまう。 このあいだも金田中で食べた
吸物椀で糸昆布(刻ミ昆布ともいうだろうか)に鱈を合わせた一ト品が出た。板前として....