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吸着
「吸着〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
吸着の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「廃墟から」より 著者:原民喜
《はえ》は遠慮なく部屋中に群れて来た。小さな姪《めい》の首の火傷《やけど》に蠅は
吸着いたまま動かない。姪は箸《はし》を投出して火のついたように泣喚《なきわめ》く....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
。取りだした磁石には、針も見定めぬうちに粉雪が凍りついた。その金属が指にぴたっと
吸着した。そこを、巻き風が平手打ちのようにたたきつけるのだ。よろけた足を踏みしめ....
「物理学圏外の物理的現象」より 著者:寺田寅彦
ちがうことを見て考え込んでいたことがあるが、これは近年になって固体や液体の表層に
吸着した単分子層の研究の先駆をなしたものであった。これと似寄ったことでは、レーノ....
「鐘に釁る」より 著者:寺田寅彦
な考察をすれば、何人にも一応は首肯されるであろうと思う。 金属と油脂類との間の
吸着力の著しいことは日常の経験からもよく知られている。真鍮などのみがいた鏡面を水....
「俳句の精神」より 著者:寺田寅彦
の特異性によるのである。ひと口に言えば自然の風物にわれわれの主観的生活を化合させ
吸着させて自然と人間との化合物ないし膠質物を作るという可能性である。これがなかっ....
「ヴォルフの世界」より 著者:宮本百合子
眼鏡の円筒を中心として、その小さい道具を既に生理の一部分にとかしこんでいるような
吸着力で捉えられている。仕事への熟練とその集注力の大さとが、いかにも人間の肉体を....
「毒瓦斯発明官」より 著者:海野十三
私の欲しいものは、そんな従来から知れている毒瓦斯ではありません。そんな毒瓦斯は、
吸着剤の活性炭と中和剤の曹達石灰とを通せば遮られるし、ゴム衣ゴム手袋ゴム靴で結構....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ら、あなたの血便はどうなっただろうと考えて居ります。アドソルビンという腸内の殺菌
吸着剤が三共にあるかしらとも考えて居ります。こうやっていてさえも、だるいのに、と....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
国の文化その他を摂取するとき、素地との磁力関係で、精煉された面より、より粗な面が
吸着するということは注目に価すると思います。どの国でもそういう危険をもっているの....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
、愛撫をみせずにいられなかった。とはいえまた振りほどこうにも、振りほどけない女の
吸着力を知ると、彼は自分が恐かった。 「気がすんだろう」 すこしおちついたのか....
「「霜柱の研究」について」より 著者:中谷宇吉郎
題にとりかかっている。誠に堂々としたものである。 赤土の特性として、その粒子の
吸着水の問題をとりあげているが、アドソルビンのように
吸着性の強いものでも霜柱は出....