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吾子
「吾子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
吾子の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
。民子が年かさの癖によくない。これからはもう決して政の所へなど行くことはならぬ。
吾子《わがこ》を許すではないが政は未だ児供だ。民やは十七ではないか。つまらぬ噂を....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
義理からでもあろうが、一つは自分に子のできないのを苦にしていた矢先だから、本気に
吾子として愛《いつく》しむ考も無論手伝ったに違ない。実際彼らは君の見るごとく、ま....
「草枕」より 著者:夏目漱石
ここにいたなと、たちまち自己を認識するようにかかなければならない。生き別れをした
吾子《わがこ》を尋ね当てるため、六十余州を回国《かいこく》して、寝《ね》ても寤《....
「思い出す事など」より 著者:夏目漱石
《くず》れる吾家《わがや》の光景と、茅《ち》が崎《さき》で海に押し流されつつある
吾子供らを、夢に見ようとした。雨のしたたか降る前に余は妻《さい》に宛てて手紙を出....
「家」より 著者:島崎藤村
思われた。達雄はそうは思わなかった。 「どういう人に成って行くかサ」とお種は更に
吾子のことを言出して、長い羅宇の煙管で煙草を吸付けた。「一体|彼は妙な気分の奴で....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
ですが、私が貧乏者なんだから、それで其様な事をしたものでしょう。尤も医者もあとで
吾子を亡くして、自分が曾て斯々の事をした、それで斯様な罰を受けたと懺悔したそうで....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
氏郷に対して十分|畏《おそ》れ縮んで居り、一揆の一雄将たる黒沢豊前守という者は、
吾子を名生の城へ人質に取られて居るのを悲んで、佐沼の城から木村父子を名生に送り届....
「連環記」より 著者:幸田露伴
今の警視庁兼裁判所のようなものである。母は其子を兼盛の胤では無いと云張り、兼盛は
吾子だと争ったが、畢竟これは母が其子を手離したくない母性愛の本然から然様云ったの....
「死者の書」より 著者:折口信夫
以前の声が、もう一層|皺がれた響きで、話をひきとった。 其時の仰せには、罪人よ。
吾子よ。
吾子の為了せなんだ荒び心で、
吾子よりももっと、わるい猛び心を持った者の、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、我、君ニ事《つか》フルコト三年、技進マズ、其ノ故如何。洋子|曰《のたまは》ク、
吾子《ごし》須《すべから》ク多ク古書ヲ読ミ、古人ト言語シテ以テ胸間ノ汚穢《おえ》....
「家庭愛増進術」より 著者:岡本かの子
これと同じ気もちです。折々の歌でそれを表わして置きます。 かりそめに叱りうべしや
吾子といへどこの天地のひとりの男の児 この歌は下手ですが子供を叱ったあとの気も....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
に強い感動がこもるのである。「かへし遣る使なければ」(巻十五・三六二七)、「この
吾子を韓国へ遣るいはへ神たち」(巻十九・四二四〇)等の例がある。 ....
「お父さん」より 著者:林芙美子
ずかしくてよく判りませんけれど、おとうさんは気持のいい声をたててろうどくします。
吾子の声にぎやかにくるこの朝の 眼ざめのかなしみふき消す如く おとうさんの歌....
「麦の芽」より 著者:徳永直
自分の眼の前にならべた。たった二日か三日しか畑も田圃も見ないのだが、何だか三年も
吾子に逢わないような気がした。 「もう嫁達は、川端田圃へゆきついた時分だろう……....
「性に関するアイヌの習俗」より 著者:河野広道
ていた。一同黙然として何事か打案じている様子であった。やがて老翁が云うよう『これ
吾子たちよ、些かにても故実を弁えている我の云うことをよく聴きなさい。今夜は、吾身....