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「呆け〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

呆けの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:岡本かの子
子供は焦立って絶叫する。 「すし! すし」 母親は、嬉しいのをぐっと堪える少し呆けたような――それは子供が、母としては一ばん好きな表情で、生涯忘れ得ない美しい....
白妖」より 著者:大阪圭吉
だがその自動車は、似ても似つかぬ箱型だった。客席には新婚らしい若い男女が、寝呆け顔をして収まっていた。 「いま、クーペに逢ったろう?」 徐行しながら運転手....
動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
察は、それから直ぐに、岩倉さんの事務所を叩き起したんだ。ところが、宿直の若僧が寝呆けていてサッパリはかが行かないと、業を煮やして、今度は署長が自身乗り出して、社....
三の字旅行会」より 著者:大阪圭吉
たね」 そういって、その奇妙な案内人は、永い話に結末をつけると、感じ入って立ち呆けている伝さんへ、軽く会釈を残して、その日のお客を迎えるべく、到着した列車のほ....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
料理屋へ小初を連れ込んだ。 「待合?」 小初は堅気な料理屋と知っていて、わざと呆けて貝原に訊いた。貝原は何の衝動も見せず 「そんなところへ、若い女の先生を連れ....
少年探偵長」より 著者:海野十三
んノンキな牛丸平太郎までが眼をさまして、 「なんや、なんや、いまの音……」 寝呆けまなこをこすりながら、顔中を口にして、ううんと大欠伸をした拍子に、またもやド....
鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
「寝呆《ねぼ》けていたんじゃねえよ。へん、この世智辛《せちがら》い世の中に誰が寝呆けていられますかというんだ。信用しなきゃいいよ。とにかくおれは、ちゃんとこの二....
地獄の使者」より 著者:海野十三
しいが、後から赤い腰紐が、ぶらんとぶら下って床に垂れているんです」 家政婦の寝呆け姿が目に見えるようであった。他の人々も、帆村の訊問に興味を持って耳を欹《そば....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
合わぬと分って、どっちも駄目になってしまった。 彼は二時間あまりも改札口で待ち呆けをくわされたであろう。駄目と分って、彼は大憤慨の態でそこを出たが、なにぶんに....
軍用鼠」より 著者:海野十三
日鼠が、チョロチョロと向うへ逃げてゆく、二匹の二十日鼠と書くと読者は、彼作者が寝呆けて一の字を二の字に書いてしまったと思うかもしれない。しかし読者は間もなく後悔....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ったら、ここでぷッつりと数珠を切る処だ!……思えば、むかし、夥間の飲友達の、遊び呆けて、多日寄附かなかった本郷の叔母さんの許を訪ねたのがあった。お柏で寝る夜具よ....
」より 著者:池谷信三郎
屋上庭園では失恋者が猿にからかっていた。喫煙室では地所の売買が行われていた。待ち呆けを喰わされた男が、時計売場の前で、しきりと時間を気にしていたが、気の毒なこと....
」より 著者:岡本かの子
季節に後れた沈丁花がどんよりと槙の樹の根に咲き匂っている。 古ぼけた玄関。老い呆けた下足爺。履き更えさせられた摺り切れ草履。薄暗い応接間。この古ぼけた埃臭さが....
雪柳」より 著者:泉鏡花
脱ぐ時、ちょっと肩をすくめて、まず踵、それから、向脛を見て苦笑したのは、我ながら呆けている。 けれども、直槙の事は、真面目にお聞きを願う。お聞きになると、あん....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
も人里も深い雪をかむって、息さえ詰まるようでありました。東の空から明け初めて、寝呆けたような鴉の声と五位鷺の声とが宮の森のあたりからかすかに聞えて来ましたが、静....