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呆然
「呆然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
呆然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「仙人」より 著者:芥川竜之介
、あなたのお暮し位はお助け申しても、よろしい。」
李は、話の腰を折られたまま、
呆然《ぼうぜん》として、ただ、道士の顔を見つめていた。(こいつは、気違いだ。)―....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
せば靴がだめになる。火叩きは有効。 ◯落ちた瞬間、あたりは火の海となる。そのとき
呆然自失してはいけない。 ◯火事になりそうなものを早く消し、道路上のものは放って....
「海底大陸」より 著者:海野十三
シリンのはばのある声は電話機のなかからひびいてこなかった。 クーパー事務長は、
呆然として受話機をにぎっていた。もうシリンの声は聞こえないが、何かしらピシュルピ....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
びこえて、舗道から逃げた。 濛々たる砂塵をあげて、トラック隊は、ひきもきらず、
呆然たる彼の前を通りぬけていった。 “気球第百六十九部隊” と、そういう文字が....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
電文には、どんな通信がのっていたであろうか。 長谷部大尉は、受信紙をみつめて、
呆然としながら、 「いやあ、私もちかごろ焼が廻ったことがわかりました。杉田二等水....
「出奔」より 著者:伊藤野枝
けれども、話すのがつらい。やさしい気持ちをもった人だけに余計話しにくい。登志子は
呆然とそこの塀近く咲いている桃を眺めて、さしせまった自分の身のおき所について考え....
「わがまま」より 著者:伊藤野枝
向けた。叔父は忙しそうにそわそわしながら手荷物の世話などしはじめた。 登志子は
呆然とそこに立っていた。永田に言葉をかけられることが恐ろしくてたまらなかった。な....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
た、ゆうぜんさながらの風情も可懐しい、として、文金だの、平打だの、見惚れたように
呆然として、現在の三崎町…あの辺町の様子を、まるで忘れていたのでは、相済むまい。....
「母への追慕」より 著者:上村松園
たのであるが、苦心して描いた縮図や絵の参考品も失ってしまった時には、さすがの私も
呆然としてしまった。 母は家財や着物の焼けたのは少しも惜しがらず、私の絵に関し....
「砂書きの老人」より 著者:上村松園
ぎと生命あるもののごとく形造られてゆく。 私ども鼻たれはこの驚異を前にそれこそ
呆然と突ったって見惚れてしまっている。 花がびっくりするようにあざやかな色彩で....
「不周山」より 著者:井上紅梅
のように水が流れている、海中のようであり、所々に尖った波が立っている。彼女はただ
呆然としてなすところを知らなかった。 しかしとうとう非常に静かになって、ただ以....
「映画と音楽」より 著者:伊丹万作
いうので「じようだんじやないよ。てんで画面と合つても何もいやしないじやないか」と
呆然としてしまうことは十の曲目のうち六つくらいまではある。 私はあえて多くを望....
「あの世から便りをする話」より 著者:海野十三
から、君達も何なら早く来たらどうか」こういう事が書いてありました。 私共非常に
呆然としまして、科学的に最も尊敬すべき友達が、科学的に心霊というものを信じて死ん....
「四十年前」より 著者:内田魯庵
位置を占めていた。が、子女の父兄は教師も学校も許す以上はこれを制裁する術がなく、
呆然として学校の為すままに任して、これが即ち文明であると思っていた。 自然女学....
「昔尊く」より 著者:上村松園
いません。愚図愚図して傷でもしたら大変と、母は手をとって促すのでしたが、私はただ
呆然と焼けて行く我家のさまを、口惜しいやら悲しいやらで見とれていたのを今でも思い....