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味わい
「味わい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
味わいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
向うの桟敷《さじき》にいなくなった時、私は実際肩が抜けたようなほっとした心もちを
味わいました。勿論女の方はいなくなっても、縞の背広はやはり隣の桝で、しっきりなく....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
いか? 逐語訳だよ。わたしは喜んでわたしの愛する………黄老爺《こうろうや》の血を
味わいます。………」
僕は体の震えるのを感じた。それは僕の膝《ひざ》を抑えた含....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
慕と追憶との国にはいるような心もちがした。この心もちのために、この慰安と寂寥とを
味わいうるがために、自分は何よりも大川の水を愛するのである。
銀灰色の靄《もや....
「或る女」より 著者:有島武郎
と》を脱いだ人のように、心にも肉にも快い疲労を覚えて、いわばその疲れを夢のように
味わいながら、なよなよとソファに身を寄せて灯火を見つめていた。倉地がそこにいない....
「或る女」より 著者:有島武郎
酒も飲まないのだけれども、酔後の水と同様に、胃の腑に味覚ができて舌の知らない味を
味わい得たと思うほど快く感じた。それほど胸の中は熱を持っていたに違いない。けれど....
「二つの道」より 著者:有島武郎
ちはいい。ヘダになるのは実に厭《いや》だ。厭でもしかたがない。智慧《ちえ》の実を
味わい終わった人であってみれば、人として最上の到達はヘダのほかにはないようだ。
....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
の涙に漂っていた。芸術におぼれたものでなくって、そういう時のエクスタシーをだれが
味わい得よう。しかし私の心が痛ましく裂け乱れて、純一な気持ちがどこのすみにも見つ....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
おいてもらいたい。 自分で自分のする悲劇を観察し批判し、われとわが人生の崎嶇を
味わいみるのも、また一種の慰藉にならぬでもない。 それだけ負け惜しみが強ければ....
「四次元漂流」より 著者:海野十三
ようになやんでいるのを、作者は意地わるい微笑をうかべて、悪魔じみた楽しさを只一人
味わいたいつもりではない。いや、それとは反対に、読者諸君の興味を最も大きくしたい....
「第四次元の男」より 著者:海野十三
とって、高速度カメラでとった映画の如く、いとも鄭重なるモーションでもって一口ずつ
味わいくらべつつやったもんだから、時計の針は十時を指していたが、外へ出てみると、....
「浮世絵画家の肉筆」より 著者:上村松園
浮世絵画家の肉筆というものは、錦絵とはちがった別の
味わいがあるものですが、こんど蒐集陳列されたものは、屏風、掛物、巻、画帖など種々....
「女の話・花の話」より 著者:上村松園
いのですが、何しろ大そうな人出でワイワイいっておりますから、ほんとうの花の趣きを
味わいかねます。 京には、花の寺の保勝会というものがありまして、年に僅か二円の....
「迷信解」より 著者:井上円了
る諺があるが、いずれも神に対する心得を示したるものである。よくこの歌や諺の意味を
味わいて、怪しげなる加持祈祷をせざるように心掛くることが肝要である。 世にマジ....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
晴れ。朝、船中に新年拝賀式あり。船長の発声にて両陛下の万歳を三唱しおわり、雑煮を
味わい屠蘇を傾け、さらに領事館に至りて新年の遥拝をなし、午後市外の散策を試み、水....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
せず、快活な可愛い性質を持っております。――レーンヒェンは一度だけ大きい悲しみを
味わいました。――可哀そうな、幼いルシャイトが亡くなりましたときに。――これは皆....