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「味わう〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

味わうの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
ばんぽう》の無常も忘れはてて、蓮華蔵《れんげぞう》世界の妙薬をしばらくしたりとも味わうのは、ただ、恋をしている間だけじゃ。いや、その間だけは恋の無常さえ忘れてい....
或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
なかったなら、良雄はいつまでも、快い春の日の暖さを、その誇らかな満足の情と共に、味わう事が出来たのであろう。が、現実は、血色の良い藤左衛門の両頬に浮んでいる、ゆ....
或る女」より 著者:有島武郎
体もはなはだしく病に虫ばまれた葉子は抱擁によっての有頂天《うちょうてん》な歓楽を味わう資格を失ってからかなり久しかった。そこにはただ地獄《じごく》のような呵責《....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
とうれしいのだ。 しかしながら狐疑は待ちかまえていたように、君が満足の心を充分味わう暇もなく、足もとから押し寄せて来て君を不安にする。君は自分にへつらうものに....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
からまた現代における発達が未曾有の速度で進行しているということを認めて深き満足を味わうことができるであろう。まず約一〇万年の間人類は一種の精神的冬眠の状態にあっ....
振動魔」より 著者:海野十三
書き綴りはじめたのだったが、不思議なことに、どうやらやっと書き終えた今夜は、僕が味わうことの出来る最後の夜らしい。そのことは前日から感付いていたので、別に臆しも....
幽霊船の秘密」より 著者:海野十三
だけのつもりのところ、その結果、とんでもないことが起りました。猛獣は、人間の血を味わうと、たいへんに、いきり立ったのです。そして、檻の中におとなしくしていた猛獣....
出奔」より 著者:伊藤野枝
に永田という人から極めて露骨なハガキがまいこんだ。『私妻藤井詳しく出奔の情調でも味わうがいい。俺は近頃汝のために思いがけない刺戟を受けて毎日元気よく暮らしている....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
しかしこちらの旅はあまり、あっけなくて、現世でしたように、ゆるゆると道中の景色を味わうような面白味はさっぱりありませぬ……。 こんな夢物語をいつまで続けたとて....
車中有感」より 著者:上村松園
くまで、わたくしのいい相手になってくれて、わたくしは、いつになく楽しい汽車の旅を味わうことが出来たのである。好きな窓外風景も、この旅行には、とんと御無沙汰してし....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
という咄だ。) が、そういう空想史蹟は暫く措いて、単なる地理的興味から見て頗る味わうべきものがしばしばある。小文吾が荒猪を踏み殺したは鳥越であるが、鳥越は私が....
画道と女性」より 著者:上村松園
と、節廻し一つにしても言うに言われぬ微妙な味がある。その抑揚の味のよさを、聴いて味わうだけでなく、むつかしいながら自分でもやってみようという励みが出て来る。 ....
税所敦子孝養図」より 著者:上村松園
ずいていてくれていることを思うと、わたくしは今でも、あの絵を完成したときの悦びを味わうことが出来るのである。....
妖怪学」より 著者:井上円了
意向によりて生ずるものなり。例えば、子供がその目前に菓子あるを見て、一念にこれを味わうべしと思うときは、知らず識らずその手を出だすに至り、また、人が音楽を聴きて....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
いて春の郊外で座禅をするごとくすわり、舞埃城の市外ですがすがしさとなごみの気分を味わう。牧場田野が青々と海のごとく広く、道に吹く晴れわたる風は緑草の波うつ上にあ....