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味到
「味到〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
味到の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
感激である。この感激を知らないものに、どうして戯作三昧《げさくざんまい》の心境が
味到されよう。どうして戯作者の厳《おごそ》かな魂が理解されよう。ここにこそ「人生....
「文学上の復古的提唱に対して」より 著者:宮本百合子
の努力を氏自身が結論において謂わば自ら放棄しているところは興味がある。我から粋を
味到した者としての自覚から氏は粋の研究に志したらしく見える。そして様々の方面から....
「文芸時評」より 著者:宮本百合子
せしめ、「自己を変貌せしめる」役には立たず、それを憧れ、信仰し、永遠の青春として
味到してはじめて血肉となるのであるから、例えば「日本的なるもの」の解釈に当って、....
「鴎外・漱石・藤村など」より 著者:宮本百合子
をさへながむる雪の朝哉」そのほか心に刻まれた句があった。藤村氏は、それらに対する
味到の心持をのべている。その現実に対する角度は、芭蕉のように身を捨てて天地の間に....
「日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
新」日本主義としての面目を明らかにするわけである。
三
以上「日本精神」に
味到した人達の見解に接して見たが、少くとも今までに判ったことは、何が日本精神であ....
「婦人改造と高等教育」より 著者:与謝野晶子
ら、何事に対しても部分に偏せず、表面に停滞せず、全体と核心とに正しく透徹した理解
味到を持とうと注意さえすれば自然に花の綻ぶように内から開けて来る直覚作用です。 ....
「素朴な庭」より 著者:宮本百合子
景の再現を目標として、工夫を凝すなら凝したい。 茶道の名人達は、その感情を深く
味到したのだろう。悲しい事に、今日東京に住む私共は、全然野生に放置された自然か、....
「梅花の気品」より 著者:豊島与志雄
、一様に咲き匂ってる梅花を眺むる時、軽佻と鈍重とを超越した気品の沈静に、人は自ら
味到するであろう。 気品はこの世に稀である。それは地上のものというよりも、寧ろ....
「現代小説展望」より 著者:豊島与志雄
派詩人の自然観であるが、それは自然に対する単なる視察ではなく、自然に対する生活的
味到である。そういうところから芸術が生れる。 然しこれは詩であって小説ではない....
「リズムの構造」より 著者:中井正一
許容が、再びの臭味となり、三度の放下となる。かくて憶念の心常にして畢竟の味にまで
味到しつくさんとする深い時間の構造でもある。 それは、音楽のようやく技の熟する....
「ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
坂はと見ると、思いがけなく、自国を率直に語る文豪の言葉の真実性に内心驚喜し、彼の
味到癖を傾けつくして其の一句一句を蜜のように貪り吸っている様子だ。 老夫人はと....
「恐怖の季節」より 著者:三好十郎
れまでの武者小路から想像することのできないような細心で慎重な、順序を踏んで自然に
味到しようという態度がある。往々にして、そのタブロウは、彼の「ツクネいも」の絵よ....
「享楽人」より 著者:和辻哲郎
が、たとい時に彼を宗教へ向かわせるにしても、結局宗教芸術に現われた、「永久味」の
味到に落ちつかせる。彼においては美の享楽が救いである。彼の求める「土台」は美にお....
「能面の様式」より 著者:和辻哲郎
、また伎楽面に比してひねくれた美しさであるとも言えるであろう。だからこの美しさに
味到した人は、しばしば逆に伎楽面を浅ましいと呼ぶこともある。能面に度を合わせた眼....
「海にふぐ山にわらび」より 著者:北大路魯山人
剥いては食い、割っては食おうとも、その味は遂に舌端だけのものであって、人の心魂に
味到する底のものではなかった。そこで夜を待って、ふぐを「ちり」にして味わい抜いた....