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呻
「呻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
呻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
もし火の光のように、次第に細りながら消えていった。そうして、それと共に、力のない
呻吟《しんぎん》の声が、暗《やみ》を誘うごとく、かすかにもれ始めた。阿濃《あこぎ....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
さしかざしますと、見る見る中にその顔が、暖かく血の色を盛返して、やがて苦しそうな
呻《うな》り声さえ、例の泡だらけな口の中から、一しきり長く溢れて参りました。
「....
「影」より 著者:芥川竜之介
涙が彼の頬へ、冷やかに流れ始めたのである。
「房子《ふさこ》。」
陳はほとんど
呻《うめ》くように、なつかしい妻の名前を呼んだ。
するとその途端《とたん》であ....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
通り朦朧《もうろう》と壁画《へきが》を照らしているばかりだった。オルガンティノは
呻《うめ》き
呻き、そろそろ祭壇の後《うしろ》を離れた。あの幻にどんな意味があるか....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
痛の中にも、執念《しゅうね》く敵打《かたきうち》の望を忘れなかった。喜三郎は彼の
呻吟《しんぎん》の中に、しばしば八幡大菩薩《はちまんだいぼさつ》と云う言葉がかす....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
――この涙の谷に
呻《うめ》き泣きて、御身《おんみ》に願いをかけ奉る。……御身の憐みの御眼《おんめ....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
以上に、もう少し複雑な意味がある。と云うのは、彼は独り肉体的の苦痛のためにのみ、
呻吟《しんぎん》していたのではない。精神的な苦痛のために――死の恐怖を中心として....
「青年と死」より 著者:芥川竜之介
――きっとよ。よくって。
――ああ、ああ。
女の声がだんだん微《かすか》な
呻吟になってしまいに聞えなくなる。
沈黙。急に大勢の兵卒が槍を持ってどこから....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
のような、勢いの好《よ》い声援の叫びではなく、思わず彼等の口を洩《も》れた驚歎の
呻《うめ》きにほかならなかった。何故《なぜ》と云えばこの時彼は、大岩の下に肩を入....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
落ちたのでございましょう、粟田口《あわだぐち》の石橋《いしばし》の上に、うんうん
呻《うな》って居りました。時刻でございますか? 時刻は昨夜《さくや》の初更《しょ....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
か》るように顔を見合せて突立っていた。
「ここへ来《こ》う」
やがて仁右衛門は
呻《うめ》くように斧を一寸《ちょっと》動かして妻を呼んだ。
彼れは妻に手伝わせ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
。その翌日は朝から雪が降りだした。私は窓の所へ机を持って行って、原稿紙に向かって
呻吟しながら心待ちに君を待つのだった。そして渋りがちな筆を休ませる間に、今まで書....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
て、熱病患者の如く狂いまわって居る。他の一部は一切の資産を失って、絶望のドン底に
呻いている。斯んなのはちょっとした暗示、ちょっとした誘惑にも容易に動かされる。よ....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
る自分の哀れな心の中に痛い傷痕をかんじて、我知らず手足を折られでもした者のように
呻き声を放った。 私はそこで河をひとが溯るように、自分の歩んで来た一生をこうし....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
べど呼べど、応える声はなかった。けれども車大工には気のせいか、その辺の闇のなかで
呻くような声が幽かに聞えるようだった。彼はながい間じッと耳を澄して聞いていた。あ....