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呻吟
「呻吟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
呻吟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
もし火の光のように、次第に細りながら消えていった。そうして、それと共に、力のない
呻吟《しんぎん》の声が、暗《やみ》を誘うごとく、かすかにもれ始めた。阿濃《あこぎ....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
痛の中にも、執念《しゅうね》く敵打《かたきうち》の望を忘れなかった。喜三郎は彼の
呻吟《しんぎん》の中に、しばしば八幡大菩薩《はちまんだいぼさつ》と云う言葉がかす....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
以上に、もう少し複雑な意味がある。と云うのは、彼は独り肉体的の苦痛のためにのみ、
呻吟《しんぎん》していたのではない。精神的な苦痛のために――死の恐怖を中心として....
「青年と死」より 著者:芥川竜之介
――きっとよ。よくって。
――ああ、ああ。
女の声がだんだん微《かすか》な
呻吟になってしまいに聞えなくなる。
沈黙。急に大勢の兵卒が槍を持ってどこから....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
う》と流れの汀《なぎさ》から歩みを運ぶと、必死と食いしばった歯の間から、ほとんど
呻吟する様な声で、「好《い》いか渡すぞ。」と相手を呼んだ。
猪首《いくび》の若....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
裙を出して、戸口に横わって眠ったのもあった。遠くで犬の吠ゆる声はするが、幸いどの
呻吟声も聞えずに、更けてかれこれ二時であろう。 厠は表階子の取附きにもあって、....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
。その翌日は朝から雪が降りだした。私は窓の所へ机を持って行って、原稿紙に向かって
呻吟しながら心待ちに君を待つのだった。そして渋りがちな筆を休ませる間に、今まで書....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
」と、呼号するものがあるようだ。またどこか深いところから、 「耽溺が生命だ」と、
呻吟する声がある。 いずれにしても、僕の耽溺した状態から遊離した心が理屈を捏ね....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
越して、賑かに二階屋の揃った中の、一番|屋の棟の高い家へ入ったですが、私は唯幽に
呻吟いていたばかり。尤も白姥の家に三晩寝ました。その内も、娘は外へ出ては帰って来....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
る、沼になる、淵になる。幾万、何千の人の生命――それを思うと死ぬるも死切れぬと、
呻吟いて掻く。――虫より細い声だけれども、五十年の明暮を、一生懸命、そうした信仰....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
と、青坊主が、廊下はずれに物言う状は、鬼が囁くに異ならず。 「ええ、」 「どこか
呻吟くような声がするよ。」 「芸もねえ、威かしてどうさっせる。」 「聞きなさい、....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
つき、※と火花の散るごとく、良人の膚を犯すごとに、太く絶え、細く続き、長く幽けき
呻吟声の、お貞の耳を貫くにぞ、あれよあれよとばかりに自ら恐れ、自ら悼み、且つ泣き....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
。白墨狂士は何とかしけむ、そのままどたどたと足を挙げて、苦痛に堪えざる身悶して、
呻吟く声|吠ゆるがごとし。 鍵屋の一群はこれを見て棄て置かれず、島野に義作がつ....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
地が悪いのです。……およそ三四十|度、声が聞えたでしょうか。 枕頭で、ウーンと
呻吟くのが響き出した、その声が、何とも言われぬ……」 二十八 「寝....
「死体室」より 著者:岩村透
元来病院というものは、何となく陰気な処で、静かな夜に、隣室から、苦しそうな病人の
呻吟が聞えてきたり、薄暗い廊下を白い棺桶が通って行ったりして、誠に気味の悪るいも....