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「呼ばわる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

呼ばわるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十二支考」より 著者:南方熊楠
て虎を嘲り、〈汝四足あり我もまた四足あり、汝来り共に闘え、何の意か怖れて走る〉と呼ばわると、虎答えて曰く〈汝毛|竪《た》ちて森々たり、諸畜中に下極まる、猪汝速や....
十二支考」より 著者:南方熊楠
金翅鳥その翼力を竭《つく》し飛び進むとその下にある亀がわれの方が早くここにあると呼ばわる、いかに力を鼓して飛んでも亀が先に走り行くように見えて、とうとうヒマラヤ....
煩悩秘文書」より 著者:林不忘
の口辺に、友へのなつかしさが微笑となって浮かんで、 「おうい――!」 もう一度呼ばわると、唄声は、ぴたりと止んだ。 「有森ではないか。利七ではないか――伴だ!....
十二支考」より 著者:南方熊楠
て狐に向い、われ汝に竜を残らず伴《つ》れて来いと言ったに、一つしか伴れて来ぬかと呼ばわる。竜さては狐と共謀して、吾輩《われら》を食うつもりと合点し、急ぎ奔《はし....
十二支考」より 著者:南方熊楠
より、右様の厄年の人は断食してハヌマンに祷れば無難だ。俗伝にこの猴王十二年に一度呼ばわる、それを聞いた者は閹人《えんじん》となるという。予はとかく女難に苦しむか....
火星兵団」より 著者:海野十三
、長い列を作っていた。 「さあ、お次は九十番、九十番のお方!」 と、受附の男が呼ばわると、待っていた人は番号札をにぎって、その延寿相談所長室へはいって行くので....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
曲って、肩を入れる。 「お方、お方。」 と急込んで、訳もない事に不機嫌な御亭が呼ばわる。 「何じゃいし。」と振向くと、……亭主いつの間にか、神棚の下に、斜と構....
丹下左膳」より 著者:林不忘
一番おしまいの子を守りながら、 「さあ、取ってみなさいな」 と大声をあわせて、呼ばわるのだった。 かなり古い遊戯で、当時は子供達の間に、非常に流行《はや》っ....
糸くず」より 著者:国木田独歩
りおり高く起こるかと思うとおりおりまた、とある家の垣根に固く繋いである牝牛の長く呼ばわる声が別段に高く聞こえる。廐の臭いや牛乳の臭いや、枯れ草の臭い、及び汗の臭....
野に声なし」より 著者:豊島与志雄
なき結果、文壇は萎靡しがちである。 野に声なし――野は朝野の野であり、声は野に呼ばわる予言者の声のそれである。 固より、野に声なしというのは比喩である。天国....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
嫌悪《けんお》や恐怖や狂的な悲しみに陥ってしまった――おぼれながら「助けて!」と呼ばわることもしかねる子供のようになってしまった――そのときに、彼女は自分のそば....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
投げ込まれた者は皆死んでいたかというと、口碑は否と答える。埋没の日の夜、かすかな呼ばわる声が井戸から聞こえたそうである。 その井戸は中庭のまんなかに見捨てられ....
俊寛」より 著者:倉田百三
。 答えなし。 俊寛 (丘の上にはい登り沖をさしまねく)おーい、康頼殿。 沖より呼ばわる声聞こゆ。 俊寛 船を戻せ! 船を戻せ! 沖より銅鑼の音響く。 俊寛 船....
村井長庵記名の傘」より 著者:国枝史郎
、長庵は刀を背後へ廻した。及び腰をして覗き込む。 「人殺しだアア、追剥だアアア」呼ばわる声も次第に細く、片手で泥を掴んでは暗を眼掛けて投げ付けるものの、長庵の身....
妖怪報告」より 著者:井上円了
され、いかにも困苦の様子なるにより、喚起しやらんずる途端に、「火事よ、火事よ」と呼ばわる声聞こえ大いに驚き、家内残らず起き出でてその男をも起こししに、その男案外....