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呼名
「呼名〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
呼名の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「三狂人」より 著者:大阪圭吉
三人の患者は三人とも中年の男で、むろんそれぞれ本名があるのだが、ここでは特別な
呼名をつけられていた。即ち「トントン」と云うのは一号室の男で、毎日病室の窓により....
「食魔」より 著者:岡本かの子
いたのだったが、以後、蛍雪は与四郎を相手させることに凝り出し、手前勝手に鼈四郎と
呼名をつけてしまった。娘の姉妹もそれについて呼び慣れてしまう。独占慾の強い蛍雪は....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
の女中の声がして、 「かの子さーん」 と呼ぶのが聞えた。それはわたくしと同名の
呼名である。わたくしと逸作は、眼を円くして見合い、含み笑いを唇できっと引き結んだ....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
れはあとから酒場で自己紹介し合って判ったのだが、男は、Limpy Limp なる
呼名に自発的に返事して、つまりびっこだった――は、ここで一そう、ぴょこんと僕の胸....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
相州荒井の城主三浦道寸の息、荒次郎義光と申す者の妻だったものにございます。現世の
呼名は小櫻姫――時代は足利時代の末期――今から約四百|余年の昔でございます。もち....
「樋口一葉」より 著者:長谷川時雨
月はかくる時あり、わが如きものわが如くして過ぬべき一生なるに、はかなきすねものの
呼名《よびな》をかしうて、 うつせみのよにすねものといふなるは ....
「蘇生」より 著者:豊島与志雄
いた。 「兄さん!」と彼女は叫んで泣き出した。 それは彼女が敬助に向けた最初の
呼名だった。然し二人はそれに自ら気付かなかった。 「兄さん!」と彼女は泣きながら....
「黒点」より 著者:豊島与志雄
ってきてくれることがあった。そしていつも「みいちゃん」と呼んでいた。そのやさしい
呼名がお三代をひどく喜ばせたらしい。 或る朝彼女は裏口にやって来て呼んだ。 「....
「死因の疑問」より 著者:豊島与志雄
、松永夫人は、亡くなった田代清子のことを持ち出したのである。田代清子、三上家での
呼名の清さんを、松永夫人は度々の来訪によってよく知っていた。いい女中さんねと、い....
「白木蓮」より 著者:豊島与志雄
合であり、それがつかない方は、ごく親しい気持ちで信頼する場合らしい。その二通りの
呼名に、私はへんに気持ちがこだわるのだが、それを喜美子へは説明のしようもない。 ....
「陳情書」より 著者:西尾正
尻の、明らかに同席の今一人の女に賛同を求める為に吐いた※ねえ、おふささん※と云う
呼名を咄嗟《とっさ》に聞いたからでありました。おふさ、房枝、おふさ、おふささん―....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
人がいて、隼の字面の殺伐さを嫌って、こんな雅名を与えたものであろう。しかし小供の
呼名としてはかえってこの名が呼びよかったので、父親は鶴見の幼年時に、よく正根とい....
「寡婦」より 著者:秋田滋
たので、爪さきで背伸びをするようにして、私の耳もとに口を寄せると、私の名、それも
呼名を、優しい、親しげな、美しい声で「ジュヌヴィエーヴ」と囁くので、私は水でも浴....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
心が激したか、目のふちに色を染めて、 「ああ、愛吉、お前のおともだちの蔵人(軍鶏
呼名)もね、人形町の火事ッきり、どこへ行ったか分らないんだよ。愛吉てば、お前、お....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
…鰌を串にしたのだそうだが、蒲焼など、ひとつずつ、ただその小さな看板にだけ、売名
呼名をかいて、ほんのりと赤で灯が入っていて、その灯に、草の白露が、ほろほろと浮く....