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呼吸
「呼吸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
呼吸の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
に忽《たちま》ち陰欝《いんうつ》になって行った。彼は仰向けになったまま、彼自身の
呼吸を数えていた。それは丁度何ものかに「今だぞ」とせかれている気もちだった。玄鶴....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
加減は少し熱いくらいである。彼はその熱い湯が爪の先にしみこむのを感じながら、長い
呼吸《いき》をして、おもむろに風呂の中を見廻した。うす暗い中に浮んでいる頭の数は....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
ます。私はそれを聞いた時に、俄《にわか》に目の前が暗くなって、そのまましばらくは
呼吸さえも止るような心地が致しました。また実際その間は、失心したも同様な姿だった....
「春」より 著者:芥川竜之介
た。あるいは消え失せてしまわないまでも、二年前には見られなかった、柔かい明るさを
呼吸していた。殊に広子は正面《しょうめん》にある一枚の油画に珍らしさを感じた。そ....
「ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
……もし……旦那……旦那……」髪結床の親方の声が上ずって来た。
するとその時、
呼吸とも声ともわからないほど、かすかな声が、面《めん》の下から親方の耳へ伝って来....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
るで癲癇病《てんかんや》みのように白い泡さえも噴いて居ります。沙門はしばらくその
呼吸を窺っているようでございましたが、やがてその瞳を私どもの方へ返しますと、
「....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
は彼女自身の声に、明《あ》け方の眠から覚まされた。牧野はやはり彼女の隣に、静かな
呼吸を続けていたが、こちらへ背中を向けた彼が、実際寝入っていたのかどうか、それは....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
あるとしたら、先生は実にそれであろう。先生にとって英語を教えると云う事は、空気を
呼吸すると云う事と共に、寸刻といえども止《や》める事は出来ない。もし強《し》いて....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
に倚《よ》って、音もなく流れる、黒い川をみつめながら、夜と水との中に漂う「死」の
呼吸を感じた時、いかに自分は、たよりのないさびしさに迫られたことであろう。
大....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
骸であろう。
下人は、六分の恐怖と四分の好奇心とに動かされて、暫時《ざんじ》は
呼吸《いき》をするのさえ忘れていた。旧記の記者の語を借りれば、「頭身《とうしん》....
「青年と死」より 著者:芥川竜之介
男 己はそんな意味でそう云ったのではない。お前は今日まで己を忘れていたろう。己の
呼吸を聞かずにいたろう。お前はすべての欺罔《ぎもう》を破ろうとして快楽を求めなが....
「早春」より 著者:芥川竜之介
い》の臭《にお》いばかり漂《ただよ》っている。中村は室内を見渡した後《のち》、深
呼吸をするように体を伸ばした。それから大きい硝子戸棚《ガラスとだな》の中に太い枯....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
ひとかさ》大きい巌石の側へ歩み寄った。それから両手に岩を抑《おさ》えて、しばらく
呼吸を計っていたが、たちまちうんと力を入れると、一気に腹まで抱え上げた。最後にそ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
に駆けつけました。何事かしらと、じっと見て居りますると、その男はせかせかとはずむ
呼吸を鎮めも敢えず、斯んなことを訴えるのでした。―― 『神さま、何うぞ私の一|生....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
が、この暇乞の語を出し終りたる後は胸一杯、言うべからざる暗愁を醸し生じたり。自ら
呼吸を強くし力足を踏み、町はずれまで送りし人々の影を見かえり勝ちに明神の森まで来....