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「命の綱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

命の綱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
クララの出家」より 著者:有島武郎
毛に来てしめやかに戯れた。恐ろしいほどにあたりは物静かだった。クララの燃える眼は命の綱のようにフランシスの眼にすがりついた。フランシスの眼は落着いた愛に満ち満ち....
灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
しみとなり、船という船を沈めつくさんとしてか、とうとうきびしい掟を犯して船乗りの命の綱の灯台へ、ガスの深い夜ごとに、看守の居眠り時を利用して沙汰限りの悪戯をしか....
四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
親が有うも知ぬが、さぞ夕暮ごとにいぶせき埴生の小舎の戸口に彳み、遥の空を眺ては、命の綱の※人は戻らぬか、愛し我子の姿は見えぬかと、永く永く待わたる事であろう。 ....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
を貧乏な人間にこしらえたから、よんどころなしに毎日あくせくと働いているのだ。その命の綱の食い物をぬすむような奴を、切ったのがどうしたのだ。おれが悪いか、蛇が悪い....
恐竜島」より 著者:海野十三
てゆくより今の四人には手のほどこしようがないのだった。 水中に張ってある綱は生命の綱ともいうべきであった。綱を引く事によって水からの恐怖がまずさり、次にこうし....
独本土上陸作戦」より 著者:海野十三
た豪華な料理であって、これ全て、遠来の金博士――いや、イギリス政府及び軍部が今は命の綱と頼む新兵器発明王の金博士に対する最高の饗応であったのである。 「さて、早....
怪塔王」より 著者:海野十三
おお、ここにぬけ穴があったか」 小浜兵曹長が、その横穴をひょいと見ると、そこに命の綱を一生懸命に引張っている帆村荘六の姿が、電灯の光に照らされて見えました。 ....
太平洋魔城」より 著者:海野十三
何たることか! リーロフは、やにわに斧をふりかぶると太刀川の体をつないでいる命の綱をめがけて、さっとうちおろした。 「あ」 ぷつんと綱は切れて、太刀川の体....
大空魔艦」より 著者:海野十三
坊の身体は、そろそろと下る。 針金がだんだんのばされるのだ。針金一本が丁坊の生命の綱だ。 おそろしい宙釣りとなった。ぱたぱたと板のように硬い風が、丁坊の頬を....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
、ちょうど二十日の間、三七二十一日目の朝、念が届いてお宮の鰐口に縋りさえすれば、命の綱は繋げるんだけれども、婆に邪魔をされてこの坂が登れないでは、所詮こりゃ扶か....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
であったので、凍った死体は河岸の朝霜に晒されて検視を受けた。女の軽業師はとうとう命の綱を踏み外してしまった。それが江戸中の評判となって、半七の名もまた高くなった....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
光明劇は前方で演ぜられる。おれには前途はない。将来に希望を繋ぐには朽ちかけて来た命の綱が今にも切れそうである。おれのからだのどこを捜して見ても何ほどの物も残って....
二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
が、根柢に構わってるのが懐疑だから、動やともするとヒューマニチーはグラグラして、命の綱と頼むには手頼甲斐がなかった。けれども大船に救い上げられたからッて安心する....
機密の魅惑」より 著者:大倉燁子
うと計画んでいる彼女が、遠くから糸をひいていたことに原因するとも思います。私の運命の綱を彼女が握っていて、思うままに振り動かしているような気がします。夫は彼女な....
料理する心」より 著者:北大路魯山人
次に考えられますことは、ものの加減ということであります。この加減ひとつが技術上の命の綱でありまして、料理人の腕なのです。 煮加減、焼き加減、塩加減、水加減、火....