命を捨てる[語句情報] » 命を捨てる

「命を捨てる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

命を捨てるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
将軍」より 著者:芥川竜之介
、この温厚《おんこう》な戦友に対する、侮蔑《ぶべつ》の光が加わって来た。「何だ、命を捨てるくらい?」――彼は内心そう思いながら、うっとり空へ眼をあげた。そうして....
青木の出京」より 著者:菊池寛
彼は、よく芝居で見た身代りということを、考え合わせた。一時の感激で、主君のために命を捨てる。それはその場きりのことだ。感激のために、理性が盲目にされているその場....
勲章を貰う話」より 著者:菊池寛
かりと拳銃を掴み直して、自分の咽喉へ擬したのである。 が、考えてみると、ここで命を捨てるのは、かなりにばからしいことであった。もう独軍の重砲弾が、盛んにワルシ....
恩を返す話」より 著者:菊池寛
なかった。配偶のきさ女との間には、一人の子供さえ無かった。が、恩返しのために、一命を捨てる時などに心残りのないことを結句喜んだ。 今年の春から、彼は朝ごとに、....
恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
れに反抗する心持は、少しも持ってはいなかった。彼は、ただこうした自分の迷いから、命を捨てることが、いかにも惜しまれたので、できるだけは逃れてみたいと思っていた。....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
手の放されたを幸いに早や立ち去ろうと身構えて居る。 余は厳重な言葉で「秀子さん命を捨てるの身を隠すのと少しも其の様な事をするに及びません」と云いつつ、秀子が置....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
らでは相当の旧家であるらしく思われた。これだけの店の息子が二十両や三十両のことで命を捨てるにも及ぶまいにと、半七はいよいよ気の毒になった。 「ほかにも何か仔細が....
爆薬の花籠」より 著者:海野十三
に近づいている。房枝は、両親と大切な生産力の一つである工場とを救わんがために、一命を捨てる決心をし、今爆薬の花籠を抱いて、爆発しても被害のすくない安全な場所を求....
太平洋魔城」より 著者:海野十三
考えがあった。すばらしい計画だったけれど、命がけの冒険であった。だがこうなれば、命を捨てることなんか、太刀川にはなんでもなかったのだ。 太刀川は、できるなら、....
ドナウ源流行」より 著者:斎藤茂吉
して何も語らない。ところが其の沈黙の一人が何かのはずみに、『私どもは天皇のために命を捨てることなどは何でもありません』と云った。これが記者には何かを暗指している....
塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
ら、手分をして尋ねたらおえいさんとやらにも逢えねえという訳もねえから、今早まって命を捨てるよりも、生ていて、死んだ宇之助さんの菩提を弔うのは貴方と多助ばかりだ、....
女侠伝」より 著者:岡本綺堂
女は思いあまって一通の手紙をかいた。すなわち自分の罪を深く詫びた上で、その申訳に命を捨てるから、どうぞ周さんをゆるしてくれ。周さんが悪いのではない、何事もわたし....
死の接吻」より 著者:小酒井不木
出されて居た。「やっぱり、みんな生命が惜しいからであろう」と、考えると、彼は、生命を捨てるために医書を読みに来た自分を顧みて苦笑せざるを得なかった。仕方がないの....
本州における蝦夷の末路」より 著者:喜田貞吉
た山で草が屍に生えようとも、決して辞するところではない。ただ大君のほとりにのみ生命を捨てるので、むだな犬死はせぬと申すのであります。佐伯は国家の干城として、ひと....
黒い塔」より 著者:小川未明
づけていました。 けれども姉は、そんなことを気にかけませんでした。また、たとえ命を捨てるようなことがあっても、それを惜しまないと思いましたから、ただ一人で、そ....