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「命脈〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

命脈の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
恩を返す話」より 著者:菊池寛
た河水が堤を決したように、天草領へ雪崩《なだ》れ入った。が、しかし一揆らが唯一の命脈と頼む原城《はらじょう》は、要害無双の地であった。搦手《からめて》は、天草灘....
街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
か作られないものであろうか。 とにかくにも帝都に居る古代民族……「江戸ッ子」の命脈はとうの昔に上がってしまっている。維新を一段落として、今度の大地震を打ち止め....
聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
に過ぎなくなり、いつかの日彼等の薔薇色であった円蓋の上には、政治的にも軍事的にも命脈のまったく尽きたロマノフの鷲が、ついに巨大な屍体を横たえたのであるが、その矢....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
みに思う相手の顔をつくづくと見て、その述壊をした。庄屋風情の彼ですら、江戸幕府の命脈がいくばくもないことを感じて来た。彼はそれを尾州家の態度からも感じて来た。し....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
供のことに心を奪われて、ほとんど他をかえりみる暇がない。木曾谷三十三か村の人民が命脈にもかかわるような山林事件のために奔走している夫半蔵のことよりも、自分の子供....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
隠れている。この人は支庁主任の処置を苦々しく思うと言い、木曾谷三十三か村の人民が命脈にもかかわることを黙って見ていられるはずもないが、自分一個としてはまずまず忍....
大衆文芸作法」より 著者:直木三十五
のみで三十年以前から書き来《きた》った儘《まま》に、漸く消えなんとする通俗文芸の命脈を保っているに過ぎなくなった。 樗牛、鴎外、抱月、逍遥四人の優れた評論家が....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
には必ず能静氏を訪うて稽古を受けた。遠からず滅亡の運命に瀕しつつある能楽喜多流の命脈を僅かに残る一人の老師から受け継ぐべく精進した。 又藩公へお客様の時には、....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
転で八つ、二回目で一つ――それが三十分の報時に当ると云う訳だが、その二回で弾条の命脈が尽きてしまったのだ」 「どうかしてますね貴方は※」朔郎は突然引っ痙れた声で....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
に地上を通るべき順番になってる他の時代のために、結局同等な他の時代のために、その命脈を縮めらるべきはずではない。すべての者とよばるるある者がつぶやく。「私は存在....
梟雄」より 著者:坂口安吾
秀の受けた痛手は大きすぎた。イヤイヤ信秀に屈していた尾張の諸将のうちにも、信秀の命脈つきたりと見て背くものも現れはじめた。 信秀は虚勢を張って、翌年の暮に無理....
チューインガム」より 著者:寺田寅彦
主題とした映画が昨年あたり東京で封切されたくらいであるから、おそらく今でも相当の命脈を保っているものと考えてさしつかえはないであろう。これが日本でいつ頃から流行....
次郎物語」より 著者:下村湖人
遠い郊外まで行かなくても、もっと完全なのがこの町にもあるのだから。むろん白鳥会の命脈はたやしたくない。それには一定の集会所がほしいし、集会所を持つとすれば、この....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
尾の一振であったらしく、両優ともに予想以上に活躍して、これではまだ当分は舞台上の命脈があるらしいというのが一般の評判で、好劇家もやや意を強くしたのであった。無論....
雨夜続志」より 著者:田中貢太郎
輩を倒して、野党を粉砕したので、予算の大削減にも遭わず、瀕死の状態にあった内閣の命脈を、一年ぐらい続けたから、閥族としては、彼に爵位を与える位のことは、何んでも....