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咄嗟
「咄嗟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
咄嗟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
つともなしに映っている。池の左に立った少年の上半身《じょうはんしん》。少年の帽は
咄嗟《とっさ》の間《あいだ》に風のために池へ飛んでしまう。少年はいろいろあせった....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
たが、見苦しからぬ羽織袴で、しかも膝のあたりにはちゃんと扇面を控えていた。ただ、
咄嗟《とっさ》の際にも私の神経を刺戟したのは、彼の左の手の指が一本欠けている事だ....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
十七
危くつき当りそうになった摩利信乃法師《まりしのほうし》は、
咄嗟《とっさ》に身を躱《かわ》しましたが、なぜかそこに足を止めて、じっと平太夫《....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
想している。しかし粟野さんに金を借りることはまだ夢にも見た覚えはない。のみならず
咄嗟《とっさ》に思い出したのは今朝《けさ》滔々《とうとう》と粟野さんに売文の悲劇....
「影」より 著者:芥川竜之介
《だ》かせた、約婚の指環が嵌《はま》っている。
「じゃ今夜買って頂戴。」
女は
咄嗟《とっさ》に指環を抜くと、ビルと一しょに彼の前へ投げた。
「これは護身用の指....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
なって間《ま》もない私も、子爵の交際嫌いな性質は、以前からよく承知していたから、
咄嗟《とっさ》の間《あいだ》、側へ行って挨拶《あいさつ》したものかどうかを決しか....
「彼 第二」より 著者:芥川竜之介
は近々《きんきん》上海《シャンハイ》の通信員になるかも知れない。」
彼の言葉は
咄嗟《とっさ》の間《あいだ》にいつか僕の忘れていた彼の職業を思い出させた。僕はい....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
いない。これは自分一人でも、名乗《なのり》をかけて打たねばならぬ。――左近はこう
咄嗟《とっさ》に決心すると、身仕度をする間も惜しいように、編笠をかなぐり捨てるが....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
びん》を掻《か》き上げていた。するとその白い物は、前とは反対の方向へ、もう一度|
咄嗟《とっさ》に通り過ぎた。お蓮は櫛《くし》を持ったまま、とうとう後《うしろ》を....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
《ろっこつ》のある軍服とが見えると同時に、誰からともなく一度に軍刀をひき抜いて、
咄嗟《とっさ》に馬の頭《かしら》をその方へ立て直した。勿論その時は、万一自分が殺....
「女」より 著者:芥川竜之介
と》がして、たちまち一匹の蜜蜂が、なぐれるように薔薇の花へ下りた。蜘蛛《くも》は
咄嗟《とっさ》に眼を挙げた。ひっそりした真昼の空気の中には、まだ蜂《はち》の翅音....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
ぜか※《まぶた》の裏が突然熱くなるような気がした。「泣いちゃいけない。」――彼は
咄嗟《とっさ》にそう思った。が、もうその時は小鼻の上に涙のたまるのを感じていた。....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
今度は本間さんの方で顔をしかめた。こいつは気違いかも知れないと云う気が、その時|
咄嗟《とっさ》に頭をかすめたからである。が、それと同時に、ここまで追窮して置きな....
「三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
すると風音《かざおと》の高まるが早いか、左から雪がしまいて参りました。わたくしは
咄嗟《とっさ》に半開きの傘を斜めに左へ廻しました。数馬はその途端《とたん》に斬《....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
れて来なければ、おれがあすこへ行って見る」 遠藤が次の間へ踏みこもうとすると、
咄嗟に印度人の婆さんは、その戸口に立ち塞がりました。 「ここは私の家だよ。見ず知....