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「咄嗟に〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

咄嗟にの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
らかの明るみにすかしてみた。黒い色に見えて血がかなり多量に吐きだされていた。彼は咄嗟にそれを丸めて水中に投げようとしたが、思いかえして自分の下駄の下に踏みにじっ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
二十一 冷か、熱か、匕首、寸鉄にして、英吉のその舌の根を留めようと急ったが、咄嗟に針を吐くあたわずして、主税は黙って拳を握る。 英吉は、ここぞ、と土俵に仕....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
芸術家のみが見うる、そして描きうる深刻な自然の肖像画だった。 「やっつけたな!」咄嗟に私は少年のままの君の面影を心いっぱいに描きながら下くちびるをかみしめた。そ....
三つの窓」より 著者:芥川竜之介
、Sの五六歩|隔った後、俄かにまた「おい待て」と声をかけた。 「はい。」 Sは咄嗟にふり返った。が、不安はもう一度|体中に漲って来たらしかった。 「お前に言い....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
も、早や見えぬ。四辺に誰も居ないのを、一息の下に見渡して、我を笑うと心着いた時、咄嗟に渋面を造って、身を捻じるように振向くと…… この三角畑の裾の樹立から、広....
古狢」より 著者:泉鏡花
と薫って、胸に冷り、円髷の手巾の落ちかかる、一重だけは隔てたが、お町の両の手が、咄嗟に外套の袖をしごくばかりに引掴んで、肩と袖で取縋った。片褄の襦袢が散って、山....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
。 飜然と映って、行燈へ、中から透いて影がさしたのを、女の手ほどの大な蜘蛛、と咄嗟に首を縮めたが、あらず、非ず、柱に触って、やがて油壺の前へこぼれたのは、木の....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
七は蟇と踞み、 南瓜の葉がくれ、 尾花を透かして、 蜻蛉の目で、 覗きながら、咄嗟に心で思ううちに、框の障子の、そこに立ったお京の、あでやかに何だか寂しい姿が....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
それそれ、扉を開けるつもりで、目を覚したに違いはない。 且つ現から我に返った、咄嗟には、内の細君で……返事をしたが、かくの通り、続いてちっとも音沙汰のないのを....
星女郎」より 著者:泉鏡花
は藉らないでも、活返るに疑いない。 私は――膝へ、こう抱き起して、その顔を見た咄嗟にも、直ぐにそう考えました。―― こりゃ余計な事をしたか。自分がこの人を介....
アグニの神」より 著者:芥川竜之介
れて来なければ、おれがあすこへ行って見る」 遠藤が次の間へ踏みこもうとすると、咄嗟に印度人の婆さんは、その戸口に立ち塞がりました。 「ここは私の家だよ。見ず知....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
な文章にかけるんです。」 ――以来、乳とかく時は一字だけも胡粉がいい―― と咄嗟に思って、手首に重く、脈にこたえて、筆で染めると、解けた胡粉は、ほんのりと、....
三枚続」より 著者:泉鏡花
と思うと突然、 「火事だ、」と叫んで、軍鶏を打とうとしたが、打外した。 蔵人は咄嗟に躱して、横なぐれに退ったが、脚を揃えて、背中を持上げるとはたと婆に突かけた....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
、莟める青い竜胆の装を凝らした。筆者は、これを記すのに張合がない。なぜというに、咄嗟に拳銃を引出すのは、最新流行の服の衣兜で、これを扱うものは、世界的の名探偵か....
活人形」より 著者:泉鏡花
しとなん。 下枝が死を宣告され、仇敵の手には死なじとて、歎き悶ゆる風情を見て、咄嗟に一の奇計を得たり。 走りて三たび雑具部屋に帰り、得右衛門の耳に囁きて、そ....