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「和本〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

和本の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の根細工のようでもあり、その――一面に細かい亀裂の入った羊皮紙色の皮膚を見ると、和本の剥がれた表紙を、見るような気もするのだった。すでに、肉体的な類似を求めるの....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
日ごろ愛誦する杜詩でも読んで見たいと言い出し、半蔵がそこへ取り出して来た幾冊かの和本の集注を手に取って見た。正香はそれを半蔵に聞かせようとして、何か自身に気に入....
読書の今昔」より 著者:寺田寅彦
書物のセリュローズをぼろぼろに分解してしまうであろう。 十年来むし込んでおいた和本を取り出してみたら全部が虫のコロニーとなって無数のトンネルが三次元的に貫通し....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
、あれかこれかと捜していたらしい、脚本作者のWは、そのなかから八冊ばかりの大型の和本を取出すと、 「これだ。これだ。これだったら、誰にも異存があろうはずがない。....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
思いの意匠を凝らしているところは歩行者によき慰めを与えるのである。そして香具師と和本屋と古道具屋と狐まんじゅう、どびん焼、くらま煮屋が昔そのままの顔で並んでいた....
美の日本的源泉」より 著者:高村光太郎
リシャの円柱は現に東京丸の内にも立っている。これこそ美の世界性であって、人類の親和本能がこれを行わしめるのである。東亜に於ては古来漢民族の美の源泉が優勢を占めて....
書籍の風俗」より 著者:恩地孝四郎
至っては画帖、書帖の類の外は殆どないといってもいい位だ。であるから、この記述では和本仕立の装綴については之を省いて触れることをしない。 現在行われている洋式装....
」より 著者:佐藤垢石
こだわりのない大きな風を持っていた。 日本では鮎と書いてあゆ魚とも書く。 大和本草には、昔から日本には箱根山から東北には鯰がいないといってある。これは、箱根....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
琴の読本の『八犬伝』『巡島記』『弓張月』『美少年録』など、予約出版のものです。皆和本で、それぞれの書名が小口に綺麗に書かれたのが積重ねてあって、表紙の色はそれぞ....
錦紗」より 著者:犬田卯
籠屋は煙管を措き、茶を一杯ぐっと傾けて、さて、表座敷の神棚から一冊の手垢に汚れた和本を下ろして来て、無雑作にたずねはじめた。 「昨日の何時頃だったけや、家を出た....
好色破邪顕正」より 著者:小酒井不木
家で、大平さんが電話をかけに出かけなさった留守中、ふとあたりを見ますと、机の上に和本の古いのが二三冊置かれてありましたので、何気なくそれを手に取って開いて見ます....
書を愛して書を持たず」より 著者:小川未明
が、いつの時代でもよく売れるということは明かであります。 これに較べると、昔の和本は、生紙を使用して木版で摺られている。そして、糸で綴られていて、一見不器用だ....
妖影」より 著者:田中貢太郎
それは私の家へ時折遊びに来る男が、知らしてくれたものであった。 「大学前の、あの和本屋にあるのですよ、新斎諧と云うのでしょう」 と、その男は云った。それは十二....
つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
世界の地図とを貼り、机の傍の本箱には棚を殊《こと》にして洋書と帙入《ちついり》の和本とが並べてある。 君江は薄地の肩掛を取って手に持ったまま、指示《さししめ》....
三百年後」より 著者:小倉金之助
まった。 この頃の寒さでも、天気のいい日に、日当りのよい廊下で、三百年も以前の和本や唐本や洋書などを、手当り次第に取上げて、いい加減のところから読みはじめる楽....