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咥
「咥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
咥の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「猟奇の街」より 著者:佐左木俊郎
さい! 放してください!」 しかし、黒い服の男は彼女を放さなかった。彼女は犬に
咥《くわ》えられた鳥のように暴れ回った。黒い服の仲間は銀色に光る長い棒をがちゃが....
「錯覚の拷問室」より 著者:佐左木俊郎
わって訊いた。 「はい。お、お、落ちていました。そして、ど、ど、ど、どこかの犬が
咥《くわ》えて歩いていましたから、そ、そ、それを取り返して、ま、ま、窓へかけてお....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
もなく出港ですから」 博士の言葉に、四人は籐椅子の上に落着いた。博士はパイプを
咥《くわ》えた。 「ゼムリヤ号事件については原子爆弾説が圧倒的だった中に、水戸君....
「竹青」より 著者:太宰治
どもは之を王の使いの烏として敬愛し、羊の肉片など投げてやるとさっと飛んで来て口に
咥え、千に一つも受け損ずる事は無い。落第書生の魚容は、この使い烏の群が、嬉々とし....
「蠅男」より 著者:海野十三
びろいをした帆村は溜息をついた。 「それで犯人はどうしました」 検事はパイプを
咥えたまま、浮かぬ顔をして、 「――勿論逃げちゃったよ。なにしろこっちの連中は今....
「光の中に」より 著者:金史良
された。 一時間ばかりして山田春雄は再び私の前に姿を現わした。だが彼は指を口に
咥えたまま足元ばかり眺めていた。何だかすっきりした安堵もあるのだろうか。口元が今....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
このように申していた位でござります。誰袖源七何じゃいな、あれは曲輪の重ね餅、指を
咥えてエエくやしい、とこんなに言い囃している位の仲でござりますゆえ、今も六兵衛ど....
「断層顔」より 著者:海野十三
偵の歩調は、だんだん緩くなっていった。彼の口には、いつの間にかマドロス・パイプが
咥えられていた。煙草をすっかりやめた彼にも、仕事の必要からして代用煙草のつまった....
「天馬」より 著者:金史良
竜はようやく三叉に岐れたところまで出て来ると、ゆっくり「みどり」を一本取り出して
咥《くわ》え、辺りを見廻しつつ不機嫌そうに何かをぶつくさ呟いた。どうも気に食わぬ....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
がて戸を開いて内側に姿は見えなくなった。杜はポケットの底を探って一本の煙草を口に
咥えた。 ミチミはなかなか出て来なかった。 杜は、さっき道々で彼女の云ったこ....
「軍用鼠」より 著者:海野十三
だった」 そこで梅野十伍は、左手を伸ばして缶の中から紙巻煙草を一本ぬきだし口に
咥えた。そして同じ左手だけを器用に使ってマッチを擦った。紫煙が蒙々と、原稿用紙の....
「皿屋敷」より 著者:田中貢太郎
がどこから来たのかつうつうと入って来て、前の膳の上に乗っけてあった焼肴の残り肴を
咥えた。吝嗇なその家ではそうした残り肴をとられても口ぎたなく罵られるので、お菊は....
「取舵」より 著者:泉鏡花
場合には名人は肚で漕ぐから確さ。 生憎この近眼だから、顔は瞭然見えなかッたが、
咥煙管で艪を押すその持重加減! 遖れ見物だッたよ。」 饒舌先生も遂に口を噤みて....
「奇巌城」より 著者:菊池寛
掛けてもいいよ。どうだい、一緒に俺の自動車で帰らないかい?」 と、いいながら指を
咥えてぴゅーと一声口笛を吹いた。 その勿体ぶったマッシバン博士の格構と、きびき....
「枯尾花」より 著者:関根黙庵
られた。 ◎木挽町五丁目辺の或る待合へ、二三年以前|新橋の芸妓某が、本町辺の客を
咥え込んで、泊った事が有った、何でも明方だそうだが、客が眼を覚して枕を擡ると、坐....