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咬
「咬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
咬の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
屈せず、賊の懐に手を捻《ね》じ込みて、かの百円を奪い返さんとせり。白糸はその手に
咬《か》み着き、片手には庖丁振り抗《あ》げて、再び柄をもて渠の脾腹《ひばら》を吃....
「三角形の恐怖」より 著者:海野十三
は錐のようになっている敏感な氏は瞬間に万事を悟って誰彼の容赦なく、忽ち狂犬の如く
咬みつくことであろう。そう思うと流石に私も進退谷まって、いつの間にか往来に立ち停....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
、何者の仕業であろう。人間を傷つけるに兇器にこと欠いたのかはしらぬが、歯をもって
咬み殺すとは何ごとであるか。まるで獣のような殺し方である。大都会の真中にこんな恐....
「火薬船」より 著者:海野十三
ステッキの中にひそんでいた青斑の毒蛇が、蓋が明いたとたんに、警部モロのゆびさきに
咬みついたのである。 モロは、面色土のごとくになり、発条仕掛の人形のように、突....
「怪塔王」より 著者:海野十三
締めるつもりで、右腕をすばやく相手ののどにまわしましたが、その時怪塔王にがぶりと
咬みつかれました。 「あいててて」 犬のように
咬みつかれたので、小浜兵曹長は、....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
、鯨のような体を半ば波間に現し、針路を西南西にとって、全速力で航行中だった。舳を
咬む波が、白い歯をむきだしたまま、艦橋にまで躍りあがってくる。 当直下士官は、....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
、犬です、犬に噛まれたとお思いになって。」 「馬鹿なことを……飛んでもない、犬に
咬まれるくらいなら、私はお誓さんの薙刀に掛けられますよ。かすり疵も負わないから、....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
折しも凄まじく大戸にぶつかる音あり。 「あ、痛。」 と謙三郎の叫びたるは、足や
咬まれし、手やかけられし、犬の毒牙にかかれるならずや。あとは途ぎれてことばなきに....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
の跡にくっついて来る。これ等の眼玉は一つに繋がって、もうどこかそこらで彼の霊魂に
咬みついているようでもあった。 「助けてくれ」 阿Qは口に出して言わないが、そ....
「狂人日記」より 著者:井上紅梅
彼女は子供をたたいてじっとわたしを見詰めている。「叔さん、わたしゃお前に二つ三つ
咬みついてやらなければ気が済まない」これにはわたしも全くおどかされてしまったが、....
「故郷」より 著者:井上紅梅
も解らない――ただわけもなく、小犬のような形で非常に猛烈のように感じた。 「彼は
咬みついて来るだろうね」 「こちらには叉棒がありますからね。歩いて行って見つけ次....
「兎と猫」より 著者:井上紅梅
んふん嗅いでみて、嚔《くしゃみ》を一つして二三歩退いた。三太太は叱りつけ 「S、
咬みつくと承知しないよ。よく覚えておいで」 と彼の頭を掌で叩いた。Sはあとじさ....
「不周山」より 著者:井上紅梅
たが、見ているものが冷笑し、痛罵し、また取っては逃げ、ある時のごときは彼女の手に
咬みつきさえするのであった。そこで彼女は、白い石をはめ、それで足らなければ、橙色....
「おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
苦しくば、安ぞ其始め彫※錦帳の中に生れ来らざりし。破壁残軒の下に生を享けてパンを
咬み水を飲む身も天ならずや。 馬鹿め、しっかり修行しろ、というのであった。これ....
「穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
通り抜ける、今度は「廻れ右」して、この嶂壁の中間にある幾条かの割目を探り、岩角に
咬りついて登るのだ。峰頭を仰ぐと危岩が転げ落ちそうで、思わず首がすくむ、足下は何....