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咬む
「咬む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
咬むの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「桶狭間合戦」より 著者:菊池寛
にして来り侵して居ます。敵味方の衆寡はあだかも蟷螂の車轍に当る如く、蚊子の鉄牛を
咬むが如きものがあります。願わくば天下の為に神助あらんことを」と云った意味のもの....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
反対すと聞いたが、その故か田辺|辺《へん》で蜈蚣に咬《か》まれて格別痛まぬ人蝮蛇
咬むを感ずる事|劇《はげ》しく、蝮蛇
咬むをさまで感ぜぬ人蜈蚣に咬まるれば非常に苦....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
はほとんど皆夜なり。昼は人が蛇を見て注意すれど闇中不意に踏まば蛇驚いて正当防禦で
咬むのだ。故に土人闇夜外出するに必ず錫杖《しゃくじょう》を突き蛇その音を聴いて逃....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
を突き向け、甚だしき怒声を発してその脛《すね》や尾を牽《ひ》き、また臀《しり》を
咬むと相手またこれに返報し、姫御前《ひめごぜ》に不似合の大立ち廻りを演ずるを酋長....
「平凡」より 著者:二葉亭四迷
り》に円い前足を挙げてバタバタやっていたが、果は和《やんわ》りと痛まぬ程に小指を
咬む。 私は可愛《かわゆ》くて可愛くて堪《た》まらない。母の面《かお》を瞻上《....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
、鯨のような体を半ば波間に現し、針路を西南西にとって、全速力で航行中だった。舳を
咬む波が、白い歯をむきだしたまま、艦橋にまで躍りあがってくる。 当直下士官は、....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
明かず、全身赤く蠕《うご》めくものに、蜜を飼い、箸《はし》で夾《はさ》み、取って
咬むと喞々《しつじつ》の声をなす、これを蜜喞《みつしつ》といいて賞翫するとあり。....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
でここまで来たものにちがいない。……これであの赤痣の謎もとける。……蝮蛇がひとを
咬むのは八十八夜から十月の中ごろまで。阿波屋の人死もちょうどそのあいだ。なぜそこ....
「壁の眼の怪」より 著者:江見水蔭
、危く直芳に当ろうとした。びっくりして飛上った。 蛇は忽ち鎌首を擡げて、直芳を
咬むべく向って来た。それを急いで矢立で打った。 それにも挫まず又向って来た。已....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
先者である。私は雑誌『山岳』によって烏水氏の白峰に関する記述を見、その山の空と相
咬む波状の輪廓、朝日をうけては紅に、夕日に映えてはオレンジに、かつ暮刻々その色を....
「仙人掌の花」より 著者:山本禾太郎
、閑枝は、一人で山中へ行って見た。黒谷橋から断魚渓に沿うて、蟋蟀橋へ上った。岩を
咬む急|潭が、ところどころでは、淵となって静かな渦を巻いていた。そこには背の黒い....
「獅子舞雑考」より 著者:中山太郎
早速ではあるが、今に東京で見かける太神楽の獅子が、見物の小児の天窓《あたま》を、
咬むような所作をするのは、古くこの種の土俗から導かれているのではなかろうか。獅子....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
いた人間たちの成れの果てなのである。時代に追われて百姓や猟師になっても、まだ人を
咬む牙は決して抜かれていない。どこか鋭い眼を備えたのが、やがて、ぞろぞろと鍛冶小....
「三国志」より 著者:吉川英治
にとって逃げこんだ檻にひとしい。 呂布はすでに檻の虎だ。 しかし、窮鼠が猫を
咬むの喩えもあるから、檻の虎の料理は、易しきに似て、下手をすれば、咬みつかれる怖....