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咳
「咳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
咳の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文章」より 著者:芥川竜之介
云う事実をあからさまに見せつけられることはとにかく余り愉快ではない。保吉は校長の
咳払《せきばら》いと同時に、思わず膝の上へ目を伏せてしまった。
校長は静かに読....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
か彼女の心もちも或気安さを持ち出したのを感じた。同時に又|襖《ふすま》一重向うに
咳《せき》一つしずにいる母のお鳥に何か漠然とした不安も感じた。
「じゃ一週間位は....
「春」より 著者:芥川竜之介
《ごうもん》に等《ひと》しいらしかった。彼は何か言おうとするようにちょっと一度|
咳払《せきばら》いをした。が、
咳払いは天井の硝子《ガラス》にたちまち大きい反響を....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
なるような気が致されます。――そう思うと、急に向うの築土《ついじ》の陰で、怪しい
咳《しわぶき》の声がするや否や、きらきらと白刃《しらは》を月に輝かせて、盗人と覚....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
五歳になる。それが今年《ことし》の春頃から、何ともつかずに煩《わずら》い出した。
咳《せき》が出る、食欲《しょくよく》が進まない、熱が高まると言う始末《しまつ》で....
「路上」より 著者:芥川竜之介
ていた。書物の頁を飜《ひるがえ》す音、ペンを紙に走らせる音、それから稀《まれ》に
咳《せき》をする音――それらの音さえこの沈黙に圧迫されて、空気の波動がまだ天井ま....
「星座」より 著者:有島武郎
その日も、明けがたまでは雨になるらしく見えた空が、爽《さわ》やかな秋の朝の光となっていた。
咳の出ない時は仰向けに寝ているのがよかった。そうしたままで清逸《せいいち》は首だ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
摩がな。」と何か知らず、女中も読めぬ顔して聞返す。 捻平この話を、打消すように
咳して、 「さ、一献参ろう。どうじゃ、こちらへも酌人をちと頼んで、……ええ、それ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
い裾を白足袋で緩く刎ねて、真中の位置をずれて、ツイと軒下を横に離れたが。 弱い
咳をすると、口元を蔽うた指が離れしなに、舌を赤く、唇をぺろりと舐めた。 貸本屋....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
「はッはッ。」 遠くから長廊下を駈けて来た呼吸づかい、番頭は口に手を当てて打
咳き、 「ええ、混雑いたしまして、どうも、その実に行届きません、平に御勘弁下さい....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
親の子なのであろう。 廉平は、ものも言わずに駈け歩行いた声をまず調えようと、打
咳いたが、えへん! と大きく、調子はずれに響いたので、襯衣の袖口の弛んだ手で、そ....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
巾を顔に当てる暇さえなく、この煙を満面に浴びせられたおかげで、殆息もつけない程|
咳きこまなければならなかった。が、小娘は私に頓着する気色も見えず、窓から外へ首を....
「飯田蛇笏」より 著者:芥川竜之介
「ホトトギス」の雑詠に出る蛇笏の名前に注意し出した。勿論その句境も剽窃した。「癆
咳の頬美しや冬帽子」「惣嫁指の白きも葱に似たりけり」――僕は蛇笏の影響のもとにそ....
「初雪」より 著者:秋田滋
のベンチに腰を下ろした。蒼ざめた顔はこの世のひとの顔とも思われない。そして頻りに
咳をした。彼女はそのたびに、自分の精根を涸らしてしまう、込み上げて来るその動揺を....
「活人形」より 著者:泉鏡花
と坐し、「やい、この態はどうしたのだ。と口なる手拭|退けてやれば、お録はごほんと
咳き入りて、「はい、難有うございます。「ええどうしたのだ。「はい、はい。もしお聞....