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咳き
「咳き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
咳きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
つした手がぶきっちょうに清逸の背中を上下に動いた。清逸はその手の下でしばらくの間
咳きつづけた。
咳がやんでも純次はやはりさすり続けていた。清逸は喀痰《かくたん....
「富士」より 著者:岡本かの子
。でも、そういう場合に飲もうとする努力は苦しいものですね」 若い獣神はしきりに
咳き込んだ。水無瀬女は背を撫でて介抱してやった。 燈火のかすかな灯かげで女は獣....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
へへへ、お幾干ばかりなのをお捜しなされまするやら。」 心当りがあるか、ごほりと
咳きつつ、甘酒の釜の蔭を膝行って出る。 「静岡じゃ、お米は一升|幾干だい。」 「....
「国際殺人団の崩壊」より 著者:海野十三
子の痛々しい姿に、一言の憐憫の言葉もかけはしなかった。彼女は、いくたびかはげしく
咳きいりながら、虫のような声でくりかえしくりかえし歎願し、椋島の助命を頼んだので....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
煙草をすって、あついレモン茶をすすって、しばらく休息していると、主人は勿体らしく
咳きして一同に声をかけた。 「実はこのような晩にわざわざお越しを願いましたのは外....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
して口にくわえた。そしてこれに火を点じて、急いで煙を吸った。が、たちまちはげしく
咳きこんだ。煙にむせたからであった。彼は周章《あわ》てて戸口の方へ急いだ。足を廊....
「大使館の始末機関」より 著者:海野十三
た。 うむと呻った老師は、のみかけの酒を食道の代りに気管の方へ送って、はげしく
咳き込んだ。 「いや、老師先生。ここの酒は、あまり感心しませんなあ」 「そ、そん....
「時限爆弾奇譚」より 著者:海野十三
ても、あの秘書め、何をぐずぐずしているのじゃろう」 カーテンの向うから、秘書の
咳き払いが聞えた。 「おほん、食事の御用意が整いましてございます」 「おお、待ち....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
「はッはッ。」 遠くから長廊下を駈けて来た呼吸づかい、番頭は口に手を当てて打
咳き、 「ええ、混雑いたしまして、どうも、その実に行届きません、平に御勘弁下さい....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
ね。」と、婦人はうつむきながら言った。 「まったく寒うござんすよ。」と、古河君は
咳きながら答えた。「こっちには長く御滞在の御予定ですか。」 「さあ、どうしますか....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
巾を顔に当てる暇さえなく、この煙を満面に浴びせられたおかげで、殆息もつけない程|
咳きこまなければならなかった。が、小娘は私に頓着する気色も見えず、窓から外へ首を....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
のいかがわしき古物を、兜のごとく扱うこと、ここにありてもまたしかり。 さて、打
咳き、 「トこの天窓の上へ、艶麗に立たれた時は、余り美麗で、神々しくッて、そこい....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
皺がある。尻で、閣翁を突くがごとくにして、銅像に一拝すると、 「えへん。」 と
咳き、がっしりした、脊低の反身で、仰いで、指を輪にして目に当てたと見えたのは、柄....
「二階から」より 著者:岡本綺堂
かった。車体は右に左に動揺した。車が激しく揺れるたびに、娘は胸を抱えて苦しそうに
咳き入った。わたしはもしや肺病患者ではないかと危ぶんだ。 男は焦れて打々と叫ん....
「活人形」より 著者:泉鏡花
と坐し、「やい、この態はどうしたのだ。と口なる手拭|退けてやれば、お録はごほんと
咳き入りて、「はい、難有うございます。「ええどうしたのだ。「はい、はい。もしお聞....