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咳嗽
「咳嗽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
咳嗽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
と言っている。サアサア、がたがた顫《ふる》えなくても僕が暖めてやる」
それは、
咳嗽菽豆《くしゃみそらまめ》に似た清潔好きな小草で、塵《ごみ》がはいると
咳嗽《く....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
ていた。けれども内はいつもの通りしんとしていた。艶《なま》めいた女の声どころか、
咳嗽《せき》一つ聞えなかった。 「許嫁《いいなずけ》かな」 敬太郎はまず第一に....
「道草」より 著者:夏目漱石
をしようと思う努力が、すぐ咽喉《のど》に障ったと見えて、今まで多少落ち付いていた
咳嗽《せき》の発作が一度に来た。その
咳嗽は一つがまだ済まないうちに、後から後から....
「思い出す事など」より 著者:夏目漱石
となしい往生を遂げた。向うの外《はず》れにいた潰瘍患者《かいようかんじゃ》の高い
咳嗽《せき》が日《ひ》ごとに薄らいで行くので、大方落ちついたのだろうと思って町井....
「琴のそら音」より 著者:夏目漱石
だ。これでも君の妻君の身の上を心配したつもりなんだよ」 「大丈夫にきまってるさ。
咳嗽《せき》は少し出るがインフルエンザなんだもの」 「インフルエンザ?」と津田君....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
校長は言った。 それにどうしてか、このごろはよく風邪をひいた。散歩したとては、
咳嗽が出たり、湯にはいったとては熱が出たりした。煙草を飲むと、どうも頭の工合いが....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
て、気も心もおのずからのびやかになりつ。地を転じてすでに二旬を経たれば、喀血やみ
咳嗽やや減り、一週二回東京より来たり診する医師も、快しというまでにはいたらねど病....
「二少女」より 著者:国木田独歩
と来た少女は軽く言った、奥に向て。 「どう致しまして、」と奥で嗄た声がして、続て
咳嗽がして、火鉢の縁をたたく煙管の音が重く響いた。 「この乱暮さを御覧なさい、座....
「薬」より 著者:井上紅梅
これから行って下さるんだね」 と年寄った女の声がした。そのとき裏の小部屋の中で
咳嗽の声がした。 「うむ」 老栓は応えて上衣の釦を嵌めながら手を伸ばし 「お前....
「二十六夜」より 著者:宮沢賢治
んだんめぐり、赤い火星ももう西ぞらに入りました。 梟の坊さんはしばらくゴホゴホ
咳嗽《せき》をしていましたが、やっと心を取り直して、又講義をつづけました。 「み....
「子規居士と余」より 著者:高浜虚子
在った附添婦は手に一つのコップを持って帰って来たのであった。居士は間もなく激しい
咳嗽と共にそのコップに半分位の血を吐いた。そういう事は一日に数回あった。その度附....
「肉腫」より 著者:小酒井不木
あることをはっきり意識したらしかった。 「ウフ、ウフ……」 うめきとも笑いとも
咳嗽ともわからぬ声を発したかと思うと、彼は突然その唇を紫色に変え、がくりとして看....
「人工心臓」より 著者:小酒井不木
、生理学教室へはいってから約一年半の後でしたが、その半年ほど前から私は時々軽い|
咳嗽をするようになりました。恐らくその時分に多少の発熱があったかも知れませんが、....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
棒引《かなぼうひき》の女房によって仔細に伝えられ、喘息持《ぜんそくもち》の隠居が
咳嗽《せき》は頼まざるに夜通し泥棒の用心となる。かくの如く路地は一種いいがたき生....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
然電車の中でお宅の御兄《おあに》さんにお目にかかってな……。」と老人は言いかけて
咳嗽《せき》をしながら眼鏡越しに鶴子の顔を見た。鶴子はかえってさり気《げ》なく、....