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哀れみ
「哀れみ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
哀れみの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
れて泣いた。涙を人に見せるというのは卑しい事にしか思えなかった。乞食《こじき》が
哀れみを求めたり、老人が愚痴をいうのと同様に、葉子にはけがらわしく思えていた。し....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
せぬ。自他平等のみ仏の教えにいつわりなくば、何とぞお救いくださりませ」と、玉藻は
哀れみを乞うように訴えた。 彼女は物詣でのためにきょうは殊更に清らかに粧《つく....
「出家とその弟子」より 著者:倉田百三
ちばん気持ちのいい暮らし方だろう。だがいやな人間から犬に物を投げてやるようにして
哀れみの目で見られて残り物をもらって生きるのはいちばんつらいからな。そして世の中....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
お前は男だろうとか宗教家だろうとか煽て上げ、自分達を助けると思って白状して呉れと
哀れみを乞うように云ったかも知れない。 尤も両刑事の云っているのは真実の告白の....
「続黄梁」より 著者:田中貢太郎
が七尺ばかり、四囲に炭火を燃やして、その足を真紅に焼いてあった。曾はおそろしくて
哀れみを乞うて泣いた。逃げようとしても逃げることはできなかった。鬼は左の手をもっ....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
の口を封じ、県衙の土中に埋めてしまった。 そのときに、魚は甕のなかからしきりに
哀れみを乞うと、天師はまた言い渡した。 「今は赦されぬ。おれが再びここを通るとき....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
移してなぐりつける瞬間に不覚の涙をぽろぽろとこぼすのである。これにはもちろん子を
哀れみまた自分を哀れむ複雑な心理が伴なってはいるが、しかしともかくもそうした直接....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
馬車を駆っていく伊達者。その車輪にぶら下がるようにして一しょに走りながら、大声に
哀れみを乞う傴僂の乞食。何というそれは colourful な世であったろう! ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
体あの娘をどこから連れて来た」 「わたしが連れて来たんじゃないんです」と、金次は
哀れみを乞うような悲しい眼をして、相手の顔をそっと見上げた。「実はさきおとといの....
「氷河」より 著者:黒島伝治
まじった。 「軍医殿、栗本も内地へ帰れますか?」 彼は、自分から癪に障るくらい
哀れみを乞うような声を出してきいた。 「あゝ。」 栗本の腕は、傷が癒えても、肉....
「私の小説」より 著者:坂口安吾
、地獄をさまよふものだからである。 文学が、さういふものの一つなのだ。自由人の
哀れみじめの爪の跡、地獄の遍歴の血の爪の跡、悲しい反逆の足跡だ。 お前の文学は....
「学生と先哲」より 著者:倉田百三
へと契りし事は、ただ事とも覚えず、偏に慈父悲母波木井殿の身に入りかはり、日蓮をば
哀れみ給ふか。(波木井殿御書)」 かくて六月十七日にいよいよ身延山に入った。彼....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
ばに置いて、結婚でなく共棲を続ける気です。お互いの自由を縛らないで、隣人として相
哀れみ、平和な、睦じい暮らし方をする気です。私はこの病弱なからだを優しいお絹さん....
「墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
だれていたのです。 五 もちろん、彼女は暗い面持で、ボソボソと人の
哀れみなぞを惹くような調子で、身の上語りをしていたのではありません。また日本政府....
「機密の魅惑」より 著者:大倉燁子
助けて下さい、S夫人、私を救って下さい、ねえ、お願いです』 夫人は泣きながら、
哀れみを乞うように私を見上げていうのです。私は黙って考えて居りました。 『あなた....