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「哀れむ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

哀れむの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
窮死」より 著者:国木田独歩
落ちて線路の上へぶったおれたのでしょう。」と、人夫は見たように話す。 「なにしろ哀れむべきやつサ。」と巡査が言って何心なく土手を見ると、見物人がふえて学生らしい....
映画時代」より 著者:寺田寅彦
うして草原のそよぎなどを味わうことができるであろうか。殺されて行く獅子《しし》を哀れむ心を生じるだけの余裕があるであろうか。「なんの権利があって人間はこの自由な....
義血侠血」より 著者:泉鏡花
の類《たぐい》は春夏の二季を黄金期とせり。秋は漸《ようや》く寂しく、冬は霜枯れの哀れむべきを免れざるなり。いわんや北国の雪《せつ》世界はほとんど一年の三分の一を....
街頭の偽映鏡」より 著者:佐左木俊郎
んでいるのではなかった。 ――最近の彼女の吉本についての思い出は、たいてい彼を哀れむ感情に変わってきていた。自分と同じように、不幸だけを自分のものとして生き残....
地球発狂事件」より 著者:海野十三
ないというものがあったとしたら、それは、余程の楽天家か、愚鈍の者か、さもなければ哀れむべき想像力の貧困なる者である。コロンブスの船がアメリカ大陸に到着する前にお....
茶の本」より 著者:岡倉覚三
ことが、諸君の文明を得ることと心得違いをしていたのである。かかる様子ぶりは、実に哀れむべき嘆かわしいものであるが、ひざまずいて西洋文明に近づこうとする証拠となる....
出家とその弟子」より 著者:倉田百三
知っていますか。もしこの味を知らないならばたとい皆様は楽しい恋に酔おうとも、私は哀れむべき人々であると断言いたします。 僧三 若い人々は耳をそばだてるでしょうね....
写生紀行」より 著者:寺田寅彦
いとすれば、この人はやはり自分のようなたちの男かもしれないと思った。そして同病相哀れむ心から私は急いでそこを通り過ぎねばならなかった。 ようやく丘の下の往還に....
カメラをさげて」より 著者:寺田寅彦
に見えるが、また人によると、何よりも第一にすぐ写真機に目をつける人もある。同病相哀れむゆえんであろうか。 いちょうの黄葉は東京の名物である。しかしいくらとって....
人生における離合について」より 著者:倉田百三
に厳しく裁いてはならない。これはもとより望ましきものではないが、それは人間苦悩の哀れむべき相であって、またそれを通じて美しき人間性の発露もあり得る。日本民族独特....
なよたけ」より 著者:加藤道夫
小野 何が可笑しいのだ? 文麻呂 いや、別に可笑しいわけではないが、貴様もやはり哀れむべき凡人の仲間の一人であったか、と思ってね。御多分に洩れず、貴様もあんなあ....
」より 著者:犬田卯
るからだ」という例の村人の噂、いや、鬱勃たる不平――表面化することの不可能なその哀れむべき暗い不満の感情が、次第に彼にも伝えられるようになった。「改選も間近かな....
千ヶ寺詣」より 著者:北村四海
で、十七ばかりになる娘との親子三人|暮であった、ところがこの家というのは、世にも哀れむべき、癩病の血統なので、娘は既に年頃になっても、何処からも貰手がない、娘も....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ますから、今日喰う物もないというような活計はして居らない。ここに最も気の毒な最も哀れむべき者は下等の修学僧侶の生活である。これは自分の宅から送る学資金もない。ま....