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哀別
「哀別〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
哀別の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「思い出す事など」より 著者:夏目漱石
はこの会見が最後かも知れぬと云う愁《うれい》の表情がまるでなかった。彼らは親子の
哀別以上に無邪気な顔をもっていた。そうしていろいろ人のいる中に、三人特別な席に並....
「あの時分」より 著者:国木田独歩
も今では知りません。あきらめられそうでいてて、さて思い起こすごとにあきらめ得ない
哀別のこころに沈むのはこの類の事です、そして私は「縁が薄い」という言葉の悲哀を、....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
むす子のアトリエのあるモンパルナスの空を眺め乍ら、むす子を置いて日本へ去る親子の
哀別の情を貫いて、もうあといくばくもない短い月日の流れの、倉皇として過ぎ行くけは....
「法窓夜話」より 著者:穂積陳重
遂に久しからずして、ヌーマ王は竟《つい》に崩御した。女神エジェリヤは始めて人界の
哀別離苦を知り、天にあこがれ地にかこちて、幾夜この森中に泣き明した。果ては泣きの....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
る。喜怒愛憎の高潮に伴なう涙は理知や道徳などとは関係の薄い情緒的のものであるが、
哀別離苦の焦心の涙にはよほど本能的なものがあって、純粋な肉体の苦痛によるものとか....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
持参の雉子《きじ》で酒を飲みはじめたようです。 この連中は、人生の離合集散も、
哀別離苦も、さのみ問題にはしていない。きょうあって、あすはなき命と、覚悟はきまっ....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
来はせぬかと、長く見て立っていた。しかし妹は帰って来なかった。これが私が幼な心に
哀別というものを知った初めだ。私はウロ覚えに、母が三次から帰った子守と話していた....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
いたのか洋燈の灯が茫となった中に、大きな長刀酸漿のふやけたような嬰児を抱いて、(
哀別に、さあ、一目。)という形で、括り枕の上へ、こう鉄漿の口を開けて持出すと、も....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
にも説得されて、かれも思い切ってその女と別れた。めでたい帰京のうらには、こうした
哀別の涙がそそがれた。 その後、菊之助はその女とひそかに音信を通じていたか、あ....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
目にいわせて。 ふたりは夕明りの中に姿を揃えて、その目へ、その二階へ、心からの
哀別を告げて早足に立ち去った。 東堀はドップリと暮れていた。 赤い灯影が映る....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
千絵は泣きはれた目を――鴻山は憮然とした腕ぐみを――また万吉は魂を抜かれたような
哀別を――みな茫然と下りてゆく影へ送っていた。 それが、見えなくなった後も、喪....
「随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
恋愛詩中の代表的なものである。めんめんと数千字をつらね、漢王と美妃の享楽、溺愛、
哀別、輪廻までの、飽くまで、煩悩に始まって煩悩につきる人間慾と無常を詠じ尽して余....