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哀情
「哀情〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
哀情の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
面白そうな話声がつづいている。彼はそれを聞いている中に、自《おのずか》らな一味の
哀情が、徐《おもむろ》に彼をつつんで来るのを意識した。このかすかな梅の匂につれて....
「恋を恋する人」より 著者:国木田独歩
たのである。 暫時無言で二人は歩いていたが、大友は斯《か》く感じると、言い難き
哀情《かなしみ》が胸を衝いて来る。 「然しね、お正さん、貴女も一旦嫁いだからには....
「少年の悲哀」より 著者:国木田独歩
の顔が目のさきにちらつく。そしてその夜、うすいかすみのように僕の心を包んだ一片の
哀情《かなしみ》は、年とともに濃くなって、今はただその時の僕の心持ちを思い起こし....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
ちに君はたまらないほどさびしくなって来る。自分を憐れむともKを憐れむとも知れない
哀情がこみ上げて、Kの手を取り上げてなでてみたい衝動を幾度も感じながら、女々しさ....
「忘れえぬ人々」より 著者:国木田独歩
今夜のような晩に独り夜ふけて燈に向かっているとこの生の孤立を感じて堪え難いほどの
哀情を催して来る。その時僕の主我の角がぼきり折れてしまって、なんだか人懐かしくな....
「自由画稿」より 著者:寺田寅彦
笑っていて、どちらだかわからない場合が多いし、また正常なおとなでも歓楽きわまって
哀情を生じたり、愁嘆の場合に存外つまらぬ事で笑いだすような一見不思議な現象がしば....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
うは》」の吹き方は、日本海の荒海のように豪壮で、淡泊で、しかもその中に、切々たる
哀情が豊かに籠《こも》っている。そうしてどこにか、落城の折の、法螺《ほら》の音を....
「富岡先生」より 著者:国木田独歩
を浴びている、その鮮やかな光の中にも自然の風物は何処ともなく秋の寂寥を帯びて人の
哀情をそそるような気味がある。背の高い骨格の逞ましい老人は凝然と眺めて、折り折り....
「おとずれ」より 著者:国木田独歩
るのみ。されどかれも年若き男なり、時にはわが語る言葉の端々に喚びさまされて旧歓の
哀情に堪えやらず、貴嬢がこの姿をかき消すこともあれど、要するに哀れの少女よとかこ....
「小春」より 著者:国木田独歩
人黒く舟危うし。何心なくながめてありしわれは幾百年の昔を眼前に見る心地して一種の
哀情を惹きぬ。船|回りし時われらまた乗りて渡る。中流より石級の方を望めば理髪所の....
「痀女抄録」より 著者:矢田津世子
を図がらにあらわしてそこに太子御往生の容子をみられんことを念じられた。天皇はその
哀情を深く思召され勅諚をもって繍帳を二張つくらしめ給うた、その下絵には絵師の東漢....
「菜の花物語」より 著者:児玉花外
するのである、で私が大和めぐりを為たのも丁度この菜の花の頃であった。 浄瑠璃に
哀情のたっぷりある盲人|沢一お里の、夢か浮世かの壺坂寺に詣でて、私はただひとり草....
「美食七十年の体験」より 著者:北大路魯山人
んど影を没し、まことに不自由この上もないところに至ってしまった。「歓楽きわまりて
哀情多し」の感なきを得ない。これが今日のわたしである。 わたしを知る多くの者は....