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「哀惜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

哀惜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
古典風」より 著者:太宰治
に話しかけます。美しい、と申しあげました。私は、私の顔を愛して居ります。いいえ、哀惜《あいせき》して居ります。白状なさい、あなたさまも全く同じような一夜をお持ち....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
、彼は亢奮《こうふん》し、とり乱したようになってしまった。 なるほど、木戸への哀惜の念もあろう。しかし、折竹ほどの、男の目にさんさんたる粒が宿るということは、....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
が豹一の胸をしめつけていた。痛いような嫉妬が、多鶴子の白い胸のホクロひとつにまで哀惜を覚える心とごっちゃになって、豹一は身動きもせず、じっとスクリーンを見つめて....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
影をかいま見しが。 ああ死! 以前世をつらしと見しころは、生何の楽しみぞ死何の哀惜ぞと思いしおりもありけるが、今は人の生命の愛しければいとどわが命の惜しまれて....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
の見附と御門とも、いつ全く失われつくすか、滅びゆく江戸の俤を偲ぶ時、吾儕はいとど哀惜の情に堪えぬものがある。 さるにても「時」の力の恐ろしくも又いみじきことよ....
同志小林の業績の評価によせて」より 著者:宮本百合子
の小説「地区の人々」の批評とともに何らかの形で、同志小林が殺されたことについての哀惜を表明していた。同志小林についての追想というようなものも一つならず様々の筆者....
春桃」より 著者:宮本百合子
合わした人民の一人として、中国の民衆生活を衷心から愛し、おかれている苦渋の生活を哀惜し、その未来の運命の発展に対して限りない関心をもっている。そのこころが溢れて....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
しい女だったかはほぼ想像することが出来る。二十七の若盛りで亡くなったので、冒氏は哀惜のあまり、自分の手でこの女の思い出を書き残しているが、それによると、小苑は自....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
れない決心だと、わたしは見極めてしまいました」 「そんなことがあるものか、一時の哀惜と永久の利害とは、また別問題だからな、そうしているうちに、相当の換地が与えら....
岡本一平論」より 著者:岡本かの子
命になる先に氏は対者に許容を持ち得るとのことです。一面から云えば氏はあまり女性に哀惜を感ぜず、男女間の痴情をひどく面倒がることに於て、まったく珍らしい程の性格だ....
雪の宿り」より 著者:神西清
いて参ります。旧き代の富貴、栄耀の日ごとに毀たれ焼かれて参るのを見るにつけ、一掬哀惜の涙を禁めえぬそのひまには、おのずからこの無慚な乱れを統べる底の力が見きわめ....
人口論」より 著者:マルサストマス・ロバート
人間の破壊の結果はほとんど測り知るべからざるものとなる。けだしそれは、フランスが哀惜している二百五十万という現実の損害よりも、それが一千二百万の子供の出生を阻ん....
人口論」より 著者:マルサストマス・ロバート
ずやこの時期を、一生涯の輝かしい時代として振り返り、その追憶の心を走らせ、最大の哀惜の情をもってこれに思いをはせ、もう一度それを繰返そうと心から望まぬものは、ほ....
狂人日記」より 著者:秋田滋
ボンをはいた兵士達に護られて墓へ運ばれ、白いネクタイをかけた人たちが、彼の棺に、哀惜の言葉と、心からの涙を注いだのである。 ところが、その死後、いつも彼が、重....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
たという事である。 新蔵といい、菊之助といい、いずれも秀でて実らざるもの、殊に哀惜の感が深い。菊之助は我が子に父の職業を継がせるなと言った。新蔵の弟子たちは廃....