哀感[語句情報] »
哀感
「哀感〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
哀感の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
今こそ思い存分ゆるんだかと思われるその悲しい快《こころよ》さ。葉子はそのむなしい
哀感にひたりながら、重ねた両手の上に額を乗せて手欄《てすり》によりかかったまま重....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
忘れているかも知れない、真佐子はますます非現実的な美女に気化して行くようで儚ない
哀感が沁々と湧くのであった。 蘭鋳から根本的に交媒を始め出した復一はおよその骨....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
運命に魘われて悄然として農夫の顔其まゝに言わぬ哀愁に満ちた自然の面影にやるせなき
哀感を誘われて、独|望台にさま/″\の事を想うた。都会と田舎の此争は、如何に解決....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
磯に、亡くなった妻の形見と思って来た、というのだが、句々緊張して然かも情景ともに
哀感の切なるものがある。この歌は、巻一(四七)の人麿作、「真草苅る荒野にはあれど....
「文学に於ける構想力」より 著者:豊島与志雄
の日本的ということについて所説の詳細は分らないが、概略すれば、謙抑な観照、清純な
哀感、さびとかしおりとかいう言葉に含まれる情緒的格調、などに於て理解されていたら....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
解し得たあらゆる文学のうちで、もっとも彼の心を動したものは、ユーゴーの叙事詩的な
哀感と、革命派の演説者たちの煤《すす》色の措辞《そじ》とであった。彼はその演説者....
「落雷のあと」より 著者:豊島与志雄
らしく米飯がはいっていました。それを箸でつっつきながら、彼の心を領している一種の
哀感は更に深まるばかりでした。 あの、前夜の落雷の前から、彼はその
哀感に浸って....
「自由人」より 著者:豊島与志雄
理することだ。そのためにも少し寝ていたいのだ。胸のうちを大きく抉り取られたような
哀感は、火山から来たものであるにしても、そこに空所をあけたのは俺自身だ。それを填....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
、誇張して言えば全篇が挿話の連続であり、豊かな興味は主として作中諸人物の滑稽感や
哀感に集中しているのが普通であるに対して、本篇では、筋は完全に首尾一貫し、全体の....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
言っても平尾はあまりしゃべらなかったが――みんなに話したところによると、かなり悲
哀感をそそるものだったらしい。元来花山校長の鼻は、馬田が次郎のうちで言ったように....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
肯んじないとすると。……そう思うと焦躁感はいやが上につのり、それがめいるような悲
哀感にさえなっていくのであった。 しかし、そうした不安の中にあった塾生たちも、....
「映画と季感」より 著者:中井正一
あるまいか。 かかる考えかたをするならば、いずれの芸術か、この切々たる存在への
哀感なくして芸術そのものが成立しそうもない。どうして俳句だけにとどまりえようか。....
「美の日本的源泉」より 著者:高村光太郎
享楽を世上に流通せしめた。この前後の芸術一般が持つ美には、それゆえ毎に無常迅速の
哀感を内に孕み、外はむしろ威儀の卓然たるものがあった。猿楽は寺坊の間から起ってこ....
「チェーホフ試論」より 著者:神西清
白に区別されるいわばチェーホフの本格的な文学生活であって、この時代の特質は絶望と
哀感のしらべである。だが、このように明らかな一線を引くことは果して可能だろうか。....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
な詩を書いた。単純な言葉言葉は、記憶と予感の合流にせきたてられて、おのずからなる
哀感に染められている―― ひろ野の果てに友もなく 世を終わるこそ幸ならめ、 交わ....