哀憐[語句情報] »
哀憐
「哀憐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
哀憐の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
眼《おんめ》をわれらに廻《めぐ》らせ給え。……深く御柔軟《ごじゅうなん》、深く御
哀憐、すぐれて甘《うまし》くまします「びるぜん、さんたまりや」様――
――和訳「....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
しく》した事などは信じていない。その代りに、「深く御柔軟《ごにゅうなん》、深く御
哀憐《ごあいれん》、勝《すぐ》れて甘《うまし》くまします童女さんた・まりあ様」が....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
」
彼は、眼に涙をためながら懇願するように、佐渡守を見た。が、その眼の中には、
哀憐《あいれん》を請う情と共に、犯し難い決心の色が、浮んでいる。――必ず修理の他....
「新生」より 著者:島崎藤村
ことは無かった。
百十一
言いあらわし難い恐怖《おそれ》と
哀憐《あわれみ》とは、節子の手紙を引裂いて焼捨ててしまった後まで岸本の胸に残った....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
人体のが、ギックリ、髪の揺れるほど、頭を下げて、 「御免なすって、」と盗むように
哀憐を乞う目づかいをする。 「出、出しおろう、」 と震え声で、 「馬鹿!」と一....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
れるものであろうか。縦令道徳がそれを自己|耽溺と罵らば罵れ、私は自己に対するこの
哀憐の情を失うに忍びない。孤独な者は自分の掌を見つめることにすら、熱い涙をさそわ....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
っている。かの女は急に規矩男が不憫で堪らなくなった。かの女の堰きとめかねるような
哀憐の情がつい仕草に出て、規矩男の胸元についているイラクサの穂をむしり取ってやっ....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
遠い、遠いところへゆく」と叫んでいるようなもの悲しげなものだった。私は、とたんに
哀憐の情にたまらなくなってきて、ゴリラの最期を見護ろうと膝に抱えたとき、意外な、....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
鬱にした。その心は友だちを慕わせ、師とする人を慕わせ、親のない村の子供にまで深い
哀憐を寄せさせた。彼がまだ十八歳のころに、この馬籠の村民が木曾山の厳禁を犯して、....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
挟みから十枚余りの原稿を出して、ぺらぺらと繰っていたが、疲れきった体に、感傷的な
哀憐の刺戟を感じたものらしく、まだ全く眠りからさめきらない庸三の体を揺り動かした....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
字の旗が板みたいに空に流れて立っていた。電影子園というのは常設館のことだろう。「
哀憐公子」と映画の題が大きく書いてあった。 風がひどい。町ぜんたいを引っ掻き廻....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
というので、猟師は恐ろしいものだが、それでも妻恋しさにあんなに鳴いているという、
哀憐のこころで詠んだもので、西洋的にいうと、恋の盲目とでもいうところであろうか。....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
にしていたのである。 ある有名な僧侶が葬式の説教をはじめた。彼は単純で、しかも
哀憐の情を起こさせるような言葉で、長いあいだキリスト教信者としての死を静かに念じ....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
なっていた。戸棚の上に上れば、そこからジョンドレットのきたない室の中は見られる。
哀憐《あいれん》の情にも、好奇心があり、またあるべきはずである。そのすき間は一種....
「チェーホフ試論」より 著者:神西清
もの」へのそこはかとない期待が漂っており、或いは「純粋無垢な唯美家であるとともに
哀憐の使徒であり、人類に代って泣いてくれる人、乳母のようにわれわれをあやしてくれ....