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「哀歌〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

哀歌の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
日光小品」より 著者:芥川竜之介
野には冬の夜なぞによくものの声がするという。その声が遠い国に多くの人がいて口々に哀歌をうたうともきければ、森かげの梟《ふくろう》の十羽二十羽が夜霧のほのかな中か....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
ら余は手巾を取り出し、骸骨の顔を蔽《かく》し、回向《えこう》の心で口の中に一篇の哀歌を唱えた。 何分にも永居するに堪ぬから起き上り、最早此の辺に秀子の居る可き....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
のことだ。しかし、一言断っておくが、貴方は舌を動かす前に、まず『マリエンバートの哀歌』でも読まれることだな。いいかな、ここに、久遠の女性を求めようとする一人があ....
碧眼托鉢」より 著者:太宰治
、エリオットの、文学論集をわざと骨折って読み、伊東静雄の詩集、「わがひとに与ふる哀歌。」を保田与重郎が送ってくれ、わがひととは、私のことだときめて再読、そのほか....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
、ただはるかに響く都城のどよみの、この寂寞に和して、かの現とこの夢と相共に人生の哀歌を奏するのみ。 生籬の間より衣の影ちらちら見えて、やがて出で来し二十七八の....
昭和の十四年間」より 著者:宮本百合子
に文学の領域を踏みあらしていたと思われる左翼の文学が、今やそのような形で自身への哀歌《エレジー》を奏している姿は、一種云うに云えない交錯した感覚であったろう。 ....
クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
に聞えて来たからである。幽霊は一寸耳を澄まして聴いていた後で、自分もその悲しげな哀歌に声を合せた。そして、物寂しい暗夜の中へうかぶように出て行った。 スクルー....
文学に於ける構想力」より 著者:豊島与志雄
とが喜ばれる。新たな私小説は歌おうとしている。そしてこの歌は、敗戦国民の感傷的な哀歌に堕落する恐れが、果してないであろうか。 低級な私小説はともかく、高級な私....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ヴェルは言った。 同時にブラシュヴェルはリストリエとファムイュとにつけられて、哀歌の節《ふし》で歌を歌い出した。それはでたらめの言葉を並べた工場の小唄《こうた....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
な熱中と憎悪に対照する、穏かなしみじみとした雰囲気の中にあって、友情と純愛とへの哀歌である。 最後に第四編(燃ゆる荊《いばら》、新らしき日)は、人生のさなかに....
死刑囚最後の日」より 著者:豊島与志雄
はそれから先は聞こえなかった。聞こえても私は聞くにたえなかったろう。その恐ろしい哀歌のなかばわからない意味、盗賊と警官とのその争闘、盗賊が途中で出会って女房のと....
音楽界の迷信」より 著者:兼常清佐
思うものは、リストが描き出した華やかな音の夢である。ショパンの唄った淋しい人生の哀歌である。それより外のものには用はない。 諸君は円タクで郊外をドライヴする事....
郷愁の詩人 与謝蕪村」より 著者:萩原朔太郎
、火の燃える炉辺を恋い、古き昔の子守歌と、母の懐袍《ふところ》を忍び泣くところの哀歌であった。それは柚《ゆ》の花の侘《わび》しく咲いている、昔々の家に鳴るオルゴ....
殺人迷路」より 著者:佐左木俊郎
売り出しかかっている女優なんだ。そら、いつか、君と観に行った宮部京子主演の『東京哀歌』で、ステッキガールになった少女がいたろう」 「あっ! そうか、道理で、どこ....
二十歳のエチュード」より 著者:原口統三
に来て、彼は力を与えられ、英雄の生涯に憧れた。 *21 祖国へ寄せる哀歌。 「語らない日本」こそ、母国のほんとうの美しい姿だ、と僕は思う。われわれの....