哀調[語句情報] » 哀調

「哀調〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

哀調の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
青春の逆説」より 著者:織田作之助
どこまで行きやアる、木津や難波《なんば》アの橋のしイたア…… 思い出したように哀調を帯びた子守唄を高い声で豹一に聴かせた。 お君は上塩町地蔵路地の裏長屋に家....
深夜の市長」より 著者:海野十三
みなさいを云って電波を消してゆき、あとには唯一つ、南京放送局の婦人アナウンサーが哀調を帯びた異国語で何かしら悠くりと喋っている声だけが残っていた。 その嬌声を....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
である。 六月四日に古我判事の手許に差出した支倉の上願書は昨日掲げた通り、頗る哀調に充ちて、所謂哀訴嘆願と云う風であるが、越えて六月十七日及追加として十九日に....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
―といっても月の光で微白い園で、色を秘した黒い花の幽かなる香を嗅ぎながら、無量の哀調を聞くごとくそぞろに涙ぐまるるのである。しこうしてこうして哀愁に包まれたとき....
霊魂第十号の秘密」より 著者:海野十三
鳴りだした。恨《うら》むような、泣くような、腸《ちょう》の千切《ちぎ》れるような哀調《あいちょう》をおびた楽の音であった。来会者の中には、首すじがぞっと寒くなり....
めでたき風景」より 著者:小出楢重
心がそろそろ蘇生して来て、父母在世当時の私の生活や静かな日本を思い出し何んとなく哀調に誘れてしまうのである。漸くしみじみとなって席を出ると直ちにお向いのダンスホ....
」より 著者:池谷信三郎
マズルカが、リラの発音で、歌詞のない歌のように、彼女の口を漏れてくると、不思議な哀調が彼の心の奥底に触れるのだった。ことに橋を渡って行くあの別離の時に。 ――こ....
大阪発見」より 著者:織田作之助
は戎橋を横切り、御堂筋を越えて四ツ橋の文楽座へ向いた。 デンデンと三味線が太く哀調を予想させ、太夫が腹にいれた木の枕をしっかと押えて、かつて小出楢重氏が大阪人....
」より 著者:織田作之助
て、 「船に積んだアら、どこまで行きゃアる。木津や難波アの橋のしイたア」 と、哀調を帯びた子守唄を高らかに豹一に聴かせた。 上塩町地蔵路次の裏長屋に家賃五円....
女難」より 著者:国木田独歩
るように思われたのである。 自分は彼が吹き出づる一高一低、絶えんとして絶えざる哀調を聴きながらも、つらつら彼の姿を看た。 彼は盲人である。年ごろは三十二三で....
光は影を」より 著者:岸田国士
違いないが、なにか不安なおのゝきをあたりに漂わせ、砂利を踏む靴の音にも、いくらか哀調のこもる特殊なこゝの雰囲気である。 玄関で面会の手続をする。受附で部屋の番....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
れる。林の中のあちこちから護謨液採りの土人乙女の鄙びた唄声も響いて来る。亡国的の哀調を含んだ、しかものびやかな調べである……。 二十三 その時....
空中征服」より 著者:賀川豊彦
た。しかし、霊の賀川市長はそれを見た。 闇を縫うて棺は火葬場へ送られた。そして哀調を帯びた小雀の讃美歌が火葬場の屋根の樋の中に聞こえた。賀川市長は泣きながら棺....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
ます。」 「こちらのは船頭唄の追分です。節廻しが凡て艪拍子に連れて動いて、緩く、哀調になっています。信濃のは馬子唄ですから、上り下りの山路の勾配から、轡の音、馬....
」より 著者:織田作之助
った切りであったが、やがて、船に積んだらどこまで行きやる、木津や難波の橋の下、と哀調を帯びた子守唄を高らかに豹一にきかせた。 上塩町地蔵路次の裏長屋に家賃五円....