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唇
「唇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
唇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「英雄の器」より 著者:芥川竜之介
う。――
「そうかね。」
鼻の高い、眼光の鋭い顔が一つ、これはやや皮肉な微笑を
唇頭に漂わせながら、じっと呂馬通《りょばつう》の眉の間を見ながら、こう云った。呂....
「影」より 著者:芥川竜之介
話の受話器を耳へ当てた。
「私《わたし》の家《うち》へかけてくれ給え。」
陳の
唇を洩れる言葉は、妙に底力のある日本語であった。
「誰?――婆や?――奥さんにち....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
徐《おもむろ》にこちらを振返ったが、やがてその半白な髭《ひげ》に掩《おお》われた
唇に、ちらりと微笑の影が動くと、心もち山高帽を持ち上げながら、「やあ」と柔《やさ....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
の予言者のように、私もこの霊との戦に、………」
祈祷の言葉はいつのまにか、彼の
唇《くちびる》から消えてしまった。今度は突然祭壇のあたりに、けたたましい鶏鳴《け....
「河童」より 著者:芥川竜之介
西《フランス》の画家です。この聖徒は太い血管の中に水夫の血を流していました。が、
唇《くちびる》をごらんなさい。砒素《ひそ》か何かの痕《あと》が残っています。第七....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
の友だちに聞いた能書《のうが》きだがね、そいつがやり始めた缶詰だよ。」
田宮は
唇を嘗《な》めまわしては、彼等二人を見比べていた。
「食えるかい、お前、膃肭獣《....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
に出っくわした。
「どうしたい、宗俊、一件は。」
「一件た何だ。」
了哲は、下
唇をつき出しながら、じろじろ宗俊の顔を見て、
「とぼけなさんな。煙管の事さ。」
....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
ゃただ今一つ召し上って御覧なさいまし。」
枕もとに来ていた看護婦は器用にお律の
唇《くちびる》へ水薬《みずぐすり》の硝子管《ガラスくだ》を当てがった。母は眼をつ....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
て給うや?……」
神父は思わず口をとざした。見ればまっ蒼《さお》になった女は下
唇《したくちびる》を噛んだなり、神父の顔を見つめている。しかもその眼に閃《ひらめ....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
しょう。いつも髪を耳隠しに結った、色の白い、目の冴《さ》え冴《ざ》えしたちょっと
唇《くちびる》に癖のある、――まあ活動写真にすれば栗島澄子《くりしますみこ》の役....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
暮《はくぼ》である。常子は茶の間《ま》の長椅子にぼんやり追憶に沈んでいた。彼女の
唇《くちびる》はもう今では永遠の微笑を浮かべていない。彼女の頬《ほお》もいつの間....
「運」より 著者:芥川竜之介
るようなものさ。」
青侍は、年相応な上調子《うわちょうし》なもの言いをして、下
唇を舐《な》めながら、きょろきょろ、仕事場の中を見廻した。――竹藪《たけやぶ》を....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
んぞ」 しかし印度人の婆さんは、少しも怖がる気色が見えません。見えないどころか
唇には、反って人を莫迦にしたような微笑さえ浮べているのです。 「お前さんは何を言....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
、金色の髪の毛が縮れている若々しい額、やさしく撫でる手、物云う眼、皷動する心臓、
唇を約束する微笑、抱愛を約束する
唇!――そして最初の接吻、思わず眼を閉じさせる、....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
証明するのか、ということだった。 話し手は、労をねぎらうための葡萄酒のグラスを
唇につけようとしていたが、一瞬静止して、無限の尊敬の意をこめて質問者を見やり、や....