唇を噛む[語句情報] » 唇を噛む

「唇を噛む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

唇を噛むの前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
の幔幕《まんまく》が張り渡され、上座には忠直卿が昨日と同様に座を占めたが、始終下唇を噛むばかりでなく、瞳が爛々として燃えていた。 勝負は、昨日とほとんど同様な....
駈落」より 著者:佐左木俊郎
までの切符、七、八枚も売れだのだぢがら、見当が付かねえもね。」 彼は、ちょっと唇を噛むようにして眼を※《みは》ったが、ぺっと道路に唾《つば》をした。菊枝は顔を....
雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
ギラギラと、すさまじく、瞳をきらめかした、横山五助、にわかに棒立ちに突っ立って、唇を噛むと、上目を使うようにして、甚太郎をみつめたが、皺枯れた調子で、 「甚太郎....
秋風記」より 著者:太宰治
Kは、私の顔を覗きこむ。 「死にたくなった?」 「うん。」 Kは、かるく下唇を噛む。 「いまごろになると、毎年きまって、いけなくなるらしいのね。寒さが、こ....
多神教」より 著者:泉鏡花
ぬせいか、一枚も欠けない歯が皆|弛んで、噛切るやくに立ちません。舌も縮んで唇を、唇を噛むばかり。(その唇より血を流す。) 神職 いよいよ悪鬼の形相じゃ。陽を以っ....
魔都」より 著者:久生十蘭
ら土蔵仕立の重い引戸の前に立ってジロジロと二人の方を眺めていたが、急にキッとした唇を噛むと、懐手をしたままスラスラと二人の側に寄って来て、突っ立ったまま、凄艶な....
キャラコさん」より 著者:久生十蘭
ボク、ひとり」 そういうと、急に顔を伏せて、泣くまいとでもするように、ギュッと唇を噛むんです。 扉《ドア》の隙間から、だだっぴろい、ガランとした玄関の間《ま....
三国志」より 著者:吉川英治
い人間である。それだけに、こう責めつけられると、進退きわまったかの如く、惨澹たる唇を噛むばかりだった。 「不届き者めッ、恩寵を加えれば恩寵に狎れて、身のほどもわ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
のである。 「非道な人、悪魔のような悪戯を好む人」と憎んでみても、それはひそかな唇を噛むのみだった。 「主膳から聞いたか」 「はい」 「悪かったの」 「…………....