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「唇頭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

唇頭の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
英雄の器」より 著者:芥川竜之介
う。―― 「そうかね。」 鼻の高い、眼光の鋭い顔が一つ、これはやや皮肉な微笑を唇頭に漂わせながら、じっと呂馬通《りょばつう》の眉の間を見ながら、こう云った。呂....
西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
云う気のない返事で応じた事は、勿論である。すると相手は、嘲るような微笑をちらりと唇頭《しんとう》に浮べながら、今度は静な口ぶりで、わざとらしく問いかけた。 「君....
血の文字」より 著者:黒岩涙香
事は争われぬ」と云う、余は実に驚きたれど猶お合点の行かぬ所あり横鎗を入んため将に唇頭を動さんとするに目科も余と同じ想いの如く余よりも先に口を開き「是を明々白々と....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
極は冷となりて、ものいいもいと静に、 「うむ、きっと節操を守らせるぞ。」 渠は唇頭に嘲笑したりき。 二 相本謙三郎はただ一人清川の書斎に在り。....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
それとも、習い性となって、手を動かせば尺八が手にさわり、尺八を取れば「鈴慕」が唇頭に上り来るのかも知れません。 とにかく、竜之助はここで「鈴慕」を吹きはじめ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
岸を走り戻りましたが、詩が尽きて、道は尽きず、次にうたうべきものが、未《いま》だ唇頭に上らざるが故に、その間《かん》、沈黙にして走ること約二丁にして、たちまち、....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
いました。 あとでは、炉辺の一座が、この時、はじめて弁信の噂《うわさ》を盛んに唇頭に上せてきました。何ということだ、今まで、小さくともあの人間一人の存在を忘れ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
呑まんと欲する意識だけは動いていると見え、米友の口移しにした水の三分の二ぐらいは唇頭から溢《あふ》れて、頬と頸へ伝わって流れ去るのですけれども、三分の一程度は口....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
は、兵部の娘のひがみをよそにして、蘆管《ろかん》を火にかざしてあぶり、おもむろに唇頭へあてがって、 「まず大雀《おおじゃく》を吹いてみましょうか」 千鳥を吹く....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
た子が、そう呼んでいる通りの自然にしか響かないのです。 おそらく、この貴公子の唇頭からは、日本の国の中では天皇《すめらみこと》御一人に対し奉りてのほかは、色代....