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「唐本〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

唐本の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
ヰタ・セクスアリス」より 著者:森鴎外
に宅を構えておられる。二階建の母屋に、庭の池に臨んだ離座敷の書斎がある。土蔵には唐本が一ぱい這入っていて、書生が一抱ずつ抱えては出入《だしいれ》をする。先生は年....
ケーベル先生」より 著者:夏目漱石
《か》えて、先生の書斎は耄《ぼ》け切《き》った色で包まれていた。洋書というものは唐本《とうほん》や和書よりも装飾的な背皮《せがわ》に学問と芸術の派出《はで》やか....
明暗」より 著者:夏目漱石
いてから二三日《にさんち》して、父に使を頼まれた。一通の封書と一帙《いっちつ》の唐本《とうほん》を持って、彼女は五六町|隔《へだた》った津田の宅《うち》まで行か....
思い出す事など」より 著者:夏目漱石
けんそう》と列仙伝《れつせんでん》を送ってくれた。この列仙伝は帙入《ちついり》の唐本《とうほん》で、少し手荒に取扱うと紙がぴりぴり破れそうに見えるほどの古い――....
」より 著者:島崎藤村
来た支那の小説が出て来た。名高い『紅楼夢』だ。嗅《か》ぎ慣れた臭《におい》はその唐本の中にもあった。 一冊取出して、その中に書いてある宝玉という主人公のことな....
岩石の間」より 著者:島崎藤村
畠に接した閑静な居間だ。そこだけは先生の趣味で清浄《きれい》に飾り片附けてある。唐本の詩集などを置いた小机がある。一方には先《せん》の若い奥さんの時代からあった....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
てるか、毛唐のやつは、ラシャメンを買って人間扱いにはしないそうだ、そうだろう、毛唐本来が人間の部ではないのだ、だから、人獣相楽しむというなまやさしいのではない、....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
《しろもの》でありました。取って投げ出すように「三世相」を下に置いて、次の大判の唐本仕立てなるを取って見ると「周易経伝《しゅうえきけいでん》」―― お銀様は「....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
学に交付されていたから、それを借覧することが出来るので頗る都合がよかった。中には唐本の表紙の裏はベタ金になっているのもあった。これは将軍の座右へも行ったものであ....
源氏物語」より 著者:紫式部
へ置いていただいたほうがよい」 などと宮はお言いになったのである。源氏は侍従へ唐本のりっぱなのを沈の木の箱に入れたものへ高麗笛を添えて贈った。 近ごろの源氏....
源氏物語」より 著者:紫式部
は、すぐれた名器の和琴を一つ、それに大臣の好む高麗笛を添え、また紫檀の箱一つには唐本と日本の草書の書かれた本などを入れて、院は帰ろうとする大臣の車へお積ませにな....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
うとしては、ああお留守だったと、がっかりするのでした。 本棚の片隅には、帙入の唐本の『山谷詩集』などもありました。真中は洋書で、医学の本が重らしく、一方には馬....
妖影」より 著者:田中貢太郎
、新斎諧と云うのでしょう」 と、その男は云った。それは十二三冊の小さな黄表紙の唐本で、明治四十年|比、私は一度浅草の和本屋で手に入れたが、下宿をうろついている....
三百年後」より 著者:小倉金之助
。 この頃の寒さでも、天気のいい日に、日当りのよい廊下で、三百年も以前の和本や唐本や洋書などを、手当り次第に取上げて、いい加減のところから読みはじめる楽みは、....
それから」より 著者:夏目漱石
廊下伝いに中庭を越して、奥へ来て見ると、父は唐机《とうづくえ》の前へ坐って、唐本を見ていた。父は詩が好きで、閑《ひま》があると折々支那人の詩集を読んでいる。....