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唐松
「唐松〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
唐松の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「雪中富士登山記」より 著者:小島烏水
などが、シットリと舐《な》められたように粘ッついている。朝日を反映さする金茶色の
唐松と、輝やく紅葉――そのくせ、もう枯れ枯れに萎《しな》び返って、葉の尖《さき》....
「旧主人」より 著者:島崎藤村
ば楽なものです。昔の宿場風の休茶屋には旅商人《たびあきんど》の群が居りました。「
唐松《からまつ》」という名高い並木は伐《きり》倒される最中で、大木の横倒《よこた....
「ゼーロン」より 著者:牧野信一
ないと流言されている。通例は森を避けて、猪鼻から、岡見、御岳《みたけ》、飛龍山、
唐松《からまつ》、猿山などという部落づたいに龍巻村へ向うのが順当なのであるが、私....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
また室堂から長次郎谷を登って劔岳に登頂、つづいて立山にも登った。翌七年一月には、
唐松日電小屋から五竜岳へ登頂、
唐松―不帰岳の針金のあるところを下って第一鞍部より....
「魔法修行者」より 著者:幸田露伴
長頭丸即ち貞徳が公を訪うた時、公は閑栖の韵事であるが、和らかな日のさす庭に出て、
唐松の実生を釣瓶に手ずから植えていた。五葉の松でもあればこそ、落葉松の実生など、....
「家」より 著者:島崎藤村
った。 例の書生は手桶を提げて、表の方から裏口へ廻って来た。飲水を汲む為には、
唐松の枝で囲った垣根の間を通って、共同の掘井戸まで行なければ成らなかった。 前....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
耳に通って来る、対岸の山を仰ぐと、斜めに截っ立った、禿げちょろの「截ぎ」の傍には
唐松の林が、しょんぼりと黒く塊まっている。 山の宿屋というものを、思わせる「糸....
「菜穂子」より 著者:堀辰雄
ぐったりと体を靠《もた》らせながら、ときどき顔を上げ、窓の外に彼にとっては懐しい
唐松や楢《なら》などの枯木林の多くなり出したのをぼんやりと感じていた。 明はせ....
「皇海山紀行」より 著者:木暮理太郎
登ると尾根に出た。七時十分である。いい道だ、殊に尾根に出てからは一層よく、左右は
唐松の植林である。靄が次第に深くなって附近の山がぼうと遠のいて来たと思うと雨がポ....
「おりき」より 著者:三好十郎
に七八丁行くと、営林区の林道に突き当るから……林道と言っても草の生えた、そうよ、
唐松の林を二間幅ぐれえに一直線に切り倒したとこだあ、それを左へ行くと直きに運送の....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
いて、白い雪の山が吐き出される。何処であったか忘れたが、白馬も見えた。ずっと南の
唐松五竜あたりであろう、尖った峰も二つ許り見えた。泊に来ると、左手の屏風が急に畳....
「黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
五郎、南沢岳などが見え、北より東にかけては、猫又山から、朝日、白馬、鑓、奥不帰、
唐松岳に至る後立山山脈の山々が望まれた、さまざまな形をした残雪が山の特長を語って....