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唐紅
「唐紅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
唐紅の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
したた》りたる、その痕《あと》は八畳の一間にあまねく、行潦《にわたずみ》のごとき
唐紅《からくれない》の中に、数箇所の傷を負いたる内儀の、拳《こぶし》を握り、歯を....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
ように後《うしろ》へ引いた。未来を覗く椿《つばき》の管《くだ》が、同時に揺れて、
唐紅《からくれない》の一片《ひとひら》がロゼッチの詩集の上に音なしく落ちて来る。....
「思い出す事など」より 著者:夏目漱石
もここに挙《あ》げた句に現れるような一種の趣だけをとくに愛していた。 秋風や
唐紅《からくれない》の咽喉仏《のどぼとけ》 という句はむしろ実況であるが、何だか....
「夢十夜」より 著者:夏目漱石
でのっと落ちて行った。一つと自分は勘定《かんじょう》した。 しばらくするとまた
唐紅《からくれない》の天道《てんとう》がのそりと上《のぼ》って来た。そうして黙っ....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
数丈の白絹。切り口に確と押しあてた。瞬時に染まる血紅色。手繰るに連れて一丈二丈|
唐紅の絹が延びる。 「いざ、お次!」ともう一人の武士は、これも結えた鞍壺の女を小....
「白くれない」より 著者:夢野久作
、大叫喚のうちに、 「……母しやま……済みませぬツ」 と云ふ。その言葉の終りは
唐紅の血となりて初花の鼻と唇より迸り出づる。 続いて残る九人の生命が相次ぎて磔....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
汐が、ポカリポカリと水面へ浮かび、その辺一面見ている間に緋毛氈でも敷いたように、
唐紅と一変した。 侶船の武士達はこれを見ると、いずれも蒼褪めて騒ぎ立て、 「ご....
「千早館の迷路」より 著者:海野十三
ままあなたがこの小路を奥へ駆込めば、あなたの首はすっとんで、あたり一面はそれこそ
唐紅ですぞ」 「まあ、恐ろしいことを仰有る」 「これを見てごらんなさい」 帆村....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
もしやと掌を池の中へ入れてみたが、ベトベトとして餅のようにからまる水は見るからに
唐紅《からくれない》、口へ持って行けば火になりそうだ。 湖畔をめぐりめぐってつ....
「露肆」より 著者:泉鏡花
に、漆のような夜の中に、淡い彩して顕れると、商人連はワヤワヤと動き出して、牛鍋の
唐紅も、飜然と揺ぎ、おでん屋の屋台もかッと気競が出て、白気濃やかに狼煙を揚げる。....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
さには勝てなかった。女性ながらも武将の後室。 颯と白紗の蚊帳に血飛沫が散って、
唐紅の模様を置いた。 「人々出会えッ。曲者は仕留めたぞえ」 滝之助はこうして怨....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
ているその周り、時ならぬ胡粉の雪の白皚々《はくがいがい》へはベットリながれている
唐紅《からくれない》の小川があった。 吐血したのだった。 とりあえずその小部....
「円朝花火」より 著者:正岡容
、にわかにこの辺り空も水も船も人も圓朝も、お絲も猩々緋《しょうじょうひ》のような
唐紅に彩られそめたと思ったら、向こう河岸で仕掛花火の眉間尺《みけんじゃく》が、く....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
あり。紅き色には砒石《ひせき》の混じたるあり。坊間《ぼうかん》に販売する染色料の
唐紅は多量の砒石を含有するを以て最も危険なり。安菓子にこれを用いたるものあり。ま....