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唐紙
「唐紙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
唐紙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
為に変らなかった。彼は古畳を、薄暗いランプを、蔦《つた》の画の剥《は》げかかった
唐紙《からかみ》を、――あらゆる家庭の見すぼらしさを憎んだ。が、それはまだ好かっ....
「路上」より 著者:芥川竜之介
の金口《きんぐち》がたまった時、まず大儀そうに梯子段を登る音がして、それから誰か
唐紙《からかみ》の向うへ立止ったけはいがすると、
「おい、いるか。」と、聞き慣れ....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
上に脱いだ外套《がいとう》の色にも、至る所に窺《うかが》われるのであった。殊に紅
唐紙《べにとうし》の聯《れん》を貼《は》った、埃《ほこり》臭い白壁《しらかべ》の....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
オトとを折釘《おりくぎ》にかけて、玄関から一間《ひとま》置いた向うにある、書斎の
唐紙《からかみ》をあけました。これは茶の間へ行く間に、教科書其他のはいっている手....
「或る女」より 著者:有島武郎
の郵船会社の永田から手紙を受け取った。漢学者らしい風格の、上手《じょうず》な字で
唐紙牋《とうしせん》に書かれた文句には、自分は故早月氏には格別の交誼《こうぎ》を....
「画学校時代」より 著者:上村松園
のであります。 最初は一枝ものと言って、椿や梅や木蓮などの花を描いた、八つ折の
唐紙二十五枚綴りのお手本を渡されると、それを手本として描いた絵を、それぞれの先生....
「五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
して三、四間滑るようになった。今日から一つ炬燵に五人ねることになったので、板倉は
唐紙のそばに圧迫された。今日オーストリアの人が一人きたということだ。 十二月二....
「時限爆弾奇譚」より 著者:海野十三
セテ作リタル丈夫ナルモノ。台ノ内側又ハ蒲団綿ノ中に、朱筆ヲ以テ6033ト記シタル
唐紙片ヲ発見セラルベシ。 途方もない騒ぎとなった。租界中の誰も彼もが、白い綿ぎ....
「三人の師」より 著者:上村松園
ていたのである。 先生の画室には低い大きな机があって、その上へいつもれんおちの
唐紙を数枚かさねて置いてある。 先生はそこへ坐られると、上の一枚に下部から一気....
「画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
学校が設けられてありましたので、早速そこに入りました。初めは、花鳥を習いました。
唐紙にお手本を写し描き、運筆の練習をいたしました。時には写生をしたり、古画の模写....
「迷彩」より 著者:上村松園
○ この間私はある方面から質のいい古い
唐紙を手に入れましたので、戯れに興味描きを試みまして、知合いの人にも贈ったりしま....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
破片を砕いて溶かして絵具とし、枯木の枝を折って筆とした事もあった。その上に琉球|
唐紙のような下等の紙を用い、興に乗ずれば塵紙にでも浅草紙にでも反古の裏にでも竹の....
「明治懐顧」より 著者:上村松園
る人がかなりあったものです。二階の陳列画をみて、階下へ降りてくると、そこに扇子、
唐紙などを売っていますので、それを求めて、席上画をたのむという風で、何処の誰か知....
「雨の宿」より 著者:岩本素白
旅なのに、わざわざ鞄に入れて来た着物と着換えて、早目に床を延べてくれた奥の小間の
唐紙を締め切り、入り口の方の部屋のまん中に小机を据えて端坐すると、少し強くなった....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
って、トンと上がったところが私の「お座敷」という寸法だった。 貸し主の老夫婦は
唐紙一つ向こうの六畳に住んでいる。じいさんは夜になると尺八をふところに家を出てい....