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唐風
「唐風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
唐風の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
染みた槭が枝をさしのべ落葉を散らして、頭上は錦、足も錦を踏んで行く。一丁も上って
唐風の小門に来た。此処から来路を見かえると、額縁めいた洞門に劃られた宇治川の流れ....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
一種異様な老人であった。纏《まと》っているのは胴服《どうふく》であったが、決して
唐風のものではなく、どっちかというと和蘭陀《オランダ》風で、襟にも袖にも刺繍があ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
がひっくり返ってしまう。 この分では総勢撫斬りであろう、余興とは言いながら、毛
唐風情《けとうふぜい》のために、浦方すべてが総嘗《そうな》めとは――残念である、....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
殿と言った感じ、つまり人間味が、たっぷりしているのでございます。そして何処やらに
唐風なところがあります。先ずその御門でございますが、屋根は両端が上方にしゃくれて....
「源氏物語」より 著者:紫式部
》の笛を持ち込んで来た風流好きもあった。僧都が自身で琴《きん》(七|絃《げん》の
唐風の楽器)を運んで来て、 「これをただちょっとだけでもお弾《ひ》きくだすって、....
「源氏物語」より 著者:紫式部
時を得なかった二人はたまたま得た会合の最初にまず泣いた。宰相は源氏の山荘が非常に
唐風であることに気がついた。絵のような風光の中に、竹を編んだ垣《かき》がめぐらさ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
は玄人《くろうと》らしく弾く。現代では聞けないような手も出てきた。弾く指の運びに
唐風が多く混じっているのである。左手でおさえて出す音などはことに深く出される。こ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
き足らぬものがあろうと思われる若い女房たちのために、源氏は、前から造らせてあった
唐風の船へ急に装飾などをさせて池へ浮かべることにした。船|下ろしの最初の日は御所....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
出るほど有難い書物です。だけど、あの教義をただ断片的に暗誦して博識ぶったり、あの
唐風の詩から小手先の技巧を模倣してみたりしたところで何になるでしょう? 要するに....
「美の日本的源泉」より 著者:高村光太郎
る。 夢違観音と同時代には新薬師寺の香薬師立像のような同型の美が作られていて、
唐風様式の聡明な日本化が既に行われていた事を示す。 最も壮観を極めるものに薬師....
「平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
。 船は神崎の端をかわして長崎の港へ入る。 長崎の山々は深緑を畳み、その間に
唐風《からふう》の堂寺台閣《どうじだいかく》がチラホラと隠見《いんけん》する。右....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
龍が一匹|蟠《わだかま》り、それが朝風に戦《おのの》いていた。 「……」 その
唐風の暖簾《のれん》のようなものの一番端に、吹抜亭さんへ、ひいきより――という文....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
地によって、竹、さかき、椎、しきみ、椿なども立てたりはする。 いずれはこれも、
唐風俗の移入からであろうが、要は、民家の貧しさをおおうためにあったのだから、帝室....
「随筆 新平家」より 著者:吉川英治
足利水墨画の中に立ったような残景がここにあるのも意外であった。もし数艘の小舟に、
唐風の飾り傘をささせて、それに江口の君たちを乗せ、そこの蘆むらから漕ぎ出させても....
「正倉院展を観る」より 著者:吉川英治
具だから、これの工人もこの中でうんと遊んでいるのだった。細い弓身の全面にわたって
唐風俗の舞踊者、曲芸者、奇術師、楽人など九十六人の演舞を墨絵でかいているのである....