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「唖者〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

唖者の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
富士」より 著者:岡本かの子
なと思いながら、無ければ寂しい気がする。そして興味を牽いて救われるのは、その男が唖者のように表現の途を得ないで、いろいろに感情の内爆や側爆のこういう所作をするこ....
数学と語学」より 著者:寺田寅彦
は想像できない。考えの式を組み立てるための記号をもたないと思われるからである。聾唖者には音響の言語はないが、これに代わるべき動作の言語がちゃんと備わっているので....
生ける人形」より 著者:寺田寅彦
もし、人間の扮したお園が人形のお園と精密に同じ身ぶりをしたとしたら、それはたぶん唖者のように見えるか、せいぜいで、人形のまねをしている人間としか見えないであろう....
神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
人が、片耳であったり片足であったり、てんぼうであったり盲目《めくら》であったり、唖者《おし》であったり聾者《つんぼ》であったり、満足な人間はないからであった。 ....
田舎者」より 著者:豊島与志雄
泣きだした。岸本はまた腹がたってひどくなぐりつけてやった。「若禿」は泣きやんで、唖者のように黙りこんでしまった。そして勘定を払って、ふらふらと出て行った。岸本も....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
法が欠けていて、人知れぬ自分の瞑想《めいそう》を墳墓のうちに持ってゆく。著名なる唖者や吃者《どもり》の仲間の一人たる、ジォフロア・サン・ティレールが言ったとおり....
死因の疑問」より 著者:豊島与志雄
とのおかしな会話を、わたくしは耳に入れたことがあります。近さんはその日、外で、聾唖者同志の対話を見て来たらしく、たぶんその真似でもして、感心しているようでした。....
聖女人像」より 著者:豊島与志雄
に出て行くと、彼はキキキと変な笑い声を立てて、彼方へ立ち去ってゆく。それでも彼は唖者ではない。甲高い声で早口で、家人たちに口を利いてることがある。家人以外の者に....
作男・ゴーの名誉」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
丁とも次男ともつかない孤独の召使の男である。彼はひどい聾なので、早合点の人は彼を唖者だと思い込み、それより落付いた人も彼を薄鈍物だといった。痩せてガラガラした、....
ダス・ゲマイネ」より 著者:太宰治
説を企てたその日から、みるみる痩せおとろえ、はては発狂するか自殺するか、もしくは唖者になってしまうのだ。君、ラディゲは自殺したんだってね。コクトオは気がちがいそ....
サレーダイン公爵の罪業」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
「何んだかこうまるで夢のような気がしませんか」 だがブラウンは首をふるばかりで唖者のように黙っていた。夕闇を通して山櫨の匂いと果樹園の匂いとが二人の鼻に迫った....
生死卍巴」より 著者:国枝史郎
ものに思われたらしい。癇癪声で怒鳴るように云った。 「当方の申すことが解らぬか。唖者かそれとも聾者なのか! ……では改めてもう一度訊く。――旅の侍が通った筈だ。....
話の種」より 著者:寺田寅彦
唖に言語を教うる法 電話や蓄音機の発明に依って有名なグラハム・ベル氏はまた唖者に言語の発音を教うる法に関する著者として知られている。近頃その著書の再版が出....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
も辛い事柄であった。しかしとうとう考えついた。 「うん、そうだ、いいことがある。唖者ではあるが、妹のお霜は、富士甚内を見知っている筈だ。妹を江戸へ連れて来て、一....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ときも実に貧乏の家から生れて居られるです。 第二の法王もつまらない身分、母親は唖者で父親は一体誰だか訳が分らぬ。ある隠者がその唖者と一緒になったとかあるいは坊....